Erysiphe euonymicola

Erysiphe euonymicola

Erysiphe euonymicola U. Braun
マサキうどんこ病菌。5月11日撮影。

[特徴]
葉の両面に厚い白粉状の菌叢を生じ、円形の斑状から融合してほぼ全面を覆い、若枝上にも拡がる。 菌糸は表在性、径 5-6.5 μm.、隔壁があり、付着器は普通は対生し、2-4裂に浅く切れ込み、やや拳形、径 7-10 μm. -- 分生子柄は円筒形、基部には隔壁があり僅かに曲がるものが多く、上半にも1-2個の隔壁がある。50-83 × 7.4-9.5 μm.、分生子を単生する。-- 分生子は長楕円ないしやや円柱形、薄壁、平滑、フィブロシン体は見られず、小型の油球が少数ある。28.5-37.2 × 11.1-14.2 μm.

[コメント]
人家の生垣等に植栽されたマサキ (Euonymus japonicus) に極めて普通に発生し、新葉に多い。 菌叢は春先から晩秋まで見られる(夏期は少なくなる)が、古い菌叢には寄生菌の Ampelomyces 属菌が発生することが多く、灰褐色に汚れて見える。 長らく Oidium euonymi-japonici (Arcangeli) Saccardo の学名が使用されていた菌で、子嚢殻は国内では確認されておらず、国外でも極めて稀なようだ。 命名上の混乱があったようで、現在は上記学名があてられている。 なお、国内では別種 "Phyllactinia fraxini (DC.) Homma" もマサキからの記録(昭和58年度地域部会講演要旨(30). 日本植物病理学会報 ; 50(1), p. 89. 1984)がある。

[参考文献]
Abbasi and Braun (2020): Notes on powdery mildew of evergreen spindle Euonymus japonicus in Iran. (Journal of crop protection ; 9(2), p. 347-354).
大谷 (1988): 日本菌類誌. 第3巻、子のう菌類. 第2号、ホネタケ目・ユーロチウム目・ハチノスカビ目・ミクロアスクス目・オフィオストマキン目・ツチダンゴキン目・ウドンコキン目.
高松 (2012): 2012年に発行される新モノグラフにおけるうどんこ病菌分類体系改訂の概説. (三重大学大学院生物資源学研究科紀要 ; 38, p. 1-73).

[初掲載日: 2022.09.15] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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