Erysiphe hiratae
Erysiphe hiratae U. Braun
アラカシうどんこ病菌。2月11日撮影。
[特徴]
アラカシの葉の表側に発生する。菌叢は永存性、不整円形から融合して拡がり、白色、粉状、菌糸は表面性、無色、径 5-6 μm.、付着器は普通は対生し、複雑な拳状、径 11-20 μm.。
菌叢全面に裂子嚢殻を密に生じる。--
裂子嚢殻は扁球形、黒褐色、径 108-142 μm.、表面は径 5-18 μm. 程度の褐色厚膜の多角形細胞からなり、下面周囲から付属糸を生じる。
付属糸は20本以上、菌糸状、隔壁は見られず、基部付近は厚膜で僅かに黄褐色を帯びる場合があるがそれ以外は比較的薄壁で無色、
時に瘤状あるいは短枝状の分岐を出しながら不規則に屈曲して伸び、全体に砂粒状あるいはかさぶた状の物質がまばらに付着する。
長さは 500 μm. 程度に達し、基部付近は径 4-6 μm.、中ほどで径 3.2-5 μm.、先端は丸い。1子嚢殻中の子嚢は4-8個程度。--
子嚢は広楕円形ないし広卵形、時に短柄があり、62-72 × 37-43 μm.、5-6個の子嚢胞子を生じる。--
子嚢胞子は長円形、無色、薄壁、平滑、21.4-25.8 × 11-15.5 μm.
[コメント]
アラカシ (Quercus glauca) に生じたもの。秋から冬にかけて極めて普通に見られる。
付属糸は比較的多く、絡み合って正確な数を確認するのが難しいが、30本程度のものが多い様である。
常緑カシ類のうどんこ病菌として最近まで Erysiphe gracilis とされていた菌は、Siahaan et al. (2018) によって複数種に分割された。
E. hiratae は、E. gracilis に比べて裂子嚢殻がより大型とされ、京都の市街地でアラカシに発生しているものは大半が Erysiphe hiratae に該当すると思われる。
[参考文献]
Braun (1981): Miscellaneous notes on the Erysiphaceae (II). (Feddes Repertorium ; 92, p. 499-513).
Siahaan et al. (2018): Morphophylogenetic study revealed that Erysiphe gracilis (powdery mildew of evergreen oaks, Erysiphales) is a species complex consisting of six different species. (Mycoscience ; 59, p. 124-136).
[初掲載日: 2023.02.15] //
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