Erysiphe kissiana

Erysiphe kissiana

Erysiphe kissiana S. Takamatsu
ツブラジイのうどんこ病菌。2月7日撮影。

[特徴]
菌叢は葉の表面に生じ、白色、永存性、径 1-3 cm. 程度の円状に拡がり、時に融合する。菌糸は径 3.8-5.2 μm.、隔壁があり、まばらに付着器を生じる。 付着器は菌糸の両側に対生し、浅く切れ込んだ雲形で、両翼の幅は 20-23 μm. 程度までに広がる。裂子嚢殻は菌叢中に多数散生する。-- 裂子嚢殻は扁球形、径 80-120 μm.、初め飴色、のちに褐色から黒褐色になるが、下半は淡色のままのものが多く、表面は径 10-23 μm. 程度の多角形の厚膜細胞からなる。 底面付近から20本程度あるいはそれ以上の附属糸を放射状に生じる。 附属糸は菌糸状で時に分岐し、ほぼ無色、薄壁、表面はやや粗面で曲がりくねり、径 5-6 μm.、長さは 40 μm. 程度まで。数個の子嚢を生じる。 -- 子嚢は広楕円形ないし広卵形、やや厚膜、ほとんど無柄、6-8個の子嚢胞子を生じる。46-53 × 37-42 μm. -- 子嚢胞子は俵形、無色あるいは僅かに黄色味を帯び、薄壁、平滑、内容物は泡状、20-24.3 × 10.2-11.8 μm. -- 分生子世代は確認できなかった。

[コメント]
ツブラジイ (Castanopsis cuspidata) の生葉表面に発生していたもの。 樹冠付近の高い所は観察できないのでわからないが、幼木や、ひこばえの低い所にある葉に良く発生している。 秋には菌叢が目立ち始めるが、分生子は確認できない。子嚢の成熟は遅く、真冬以降の様である。 初めて見つけたのは学生時代。Erysiphe 属だとは思うものの、モノグラフ類を参照してもシイ類(Castanopsis 属)に発生する同属菌には該当しそうな種が見当たらず、不明菌として放ったままにしていた。 Takamatsu et al. (2015) によって三重県から記載された種で、京都のシイ林では比較的普通に見られる。

[参考文献]
Takamatsu et al. (2015): Erysiphe kissiana sp. nov.: first finding of sect. Californiomyces in Japan. (Mycoscience ; 56(5), p. 512-515).

[初掲載日: 2022.04.02] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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