Erysiphe parvifoliae

Erysiphe parvifoliae

Erysiphe parvifoliae R. Kirschner
アキニレうどんこ病菌。12月20日撮影。

[特徴]
アキニレの葉に発生する。菌叢は葉の両面、ほぼ全面に拡がり、永存性、白色、粉状。菌糸は無色、隔壁があり、径 4-5.5 μm.、明瞭な付着器を確認できなかった。 菌叢上に裂子嚢殻を群生する。普通は葉の表側よりも裏側の方に多くの子嚢殻が形成されるようである。-- 裂子嚢殻は扁球形、黒褐色、径 105-120 μm.、表面は径 8-15 μm. の褐色厚膜の多角形細胞からなる。ほぼ赤道上に15-22本の附属糸を放射状に生じる。 附属糸は直線的、先端は1-1.5回転程度の渦巻状になる。無色、やや厚膜で隔壁は見られず、基部付近は粗面、先端部以外は細かな疣状に見え、渦巻部は薄壁、平滑。 長さ 80-143 μm.、基部付近で径 5-7 μm.、中ほどで 4.2-5.5 μm.、先端に向かって次第に広くなり、渦巻部では径 8-14 μm. になる。 先端の渦巻部は径 21-28 μm.、無色で油球状の内容物が少量ある。確認できた1子嚢殻中の子嚢の数は4個。-- 子嚢は広卵形、無柄あるいは不明瞭な短柄があり、45.5-57 × 31-43 μm.、2個の子嚢胞子を生じる。-- 子嚢胞子は楕円形ないし長円形、僅かに黄色を帯び、薄壁、平滑、28.5-40.0 × 17.2-22.8 μm. -- 分生子世代は未観察。

[コメント]
秋頃からアキニレ (Ulmus parvifolia) に発生し、かなり普通。 大谷 (1988) では Uncinula clandestina (Biv.-Bern.) Schroet.、高松 (2012) では Erysiphe ulmi Castagne var. ulmi とされている菌。 Erysiphe ulmi を検討した Kirschner et al. (2020) は、東アジアとヨーロッパの同菌を区別し、前者を Erysiphe parvifoliae とした。 両者は形態的には分生子柄の柄足細胞の長さで区別できるとされる。分生子世代を観察できていないが、上記学名を当てておく。

[参考文献]
Kirschner et al. (2020): A new species of the elm powdery mildew species complex (Erysiphaceae) on Chinese elm (Ulmus parvifolia) in East Asia segregated from Erysiphe ulmi. (Phytotaxa ; 447(4), p. 276-282).
大谷 (1988): 日本菌類誌. 第3巻、子のう菌類. 第2号、ホネタケ目・ユーロチウム目・ハチノスカビ目・ミクロアスクス目・オフィオストマキン目・ツチダンゴキン目・ウドンコキン目.
高松 (2012): 2012年に発行される新モノグラフにおけるうどんこ病菌分類体系改訂の概説. (三重大学大学院生物資源学研究科紀要 ; 38, p. 1-73).

[初掲載日: 2023.02.10] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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