Erysiphe pileae U. Braun
ミズ類うどんこ病菌。10月18日撮影。
[特徴]
菌叢は葉の表側に生じ、薄く拡がり、白色粉状、永存性。菌糸は分岐と隔壁があり、径 4.5-6 μm.。付着器は普通は対生し、乳頭状あるいは浅く2-3裂する拳状で、径 3.4-7 μm. --
分生子柄は直立し、円筒形、基部には隔壁があり、わずかに縊れることがある。1-2個の隔壁があり、48-115 × 8-10 μm.、分生子を単生する。--
分生子は楕円形、無色、薄壁、平滑、大きな液胞が目立ち、フィブロシン体は見られない。30-43 × 12-19 μm. --
完全世代は未確認。
[コメント]
アオミズ (Pilea pumila) に発生していたもの。完全世代を確認できていないが、日本でミズ類に発生するうどんこ病菌は他に無いようなのでこの学名を当てておく。
大谷 (1988) には、"菌叢は葉の両面、葉柄および茎上に生じ" とある。葉柄上の菌叢は確認できたが、葉の裏面、茎には確認できなかった。
学名 Erysiphe pileae の著者引用は参考文献によって少し異なっている。太字が合法名としているもの。(Mycobank、Index Fungorum は共に 2023.10.10 閲覧確認)
・大谷 (1988): Erysiphe pileae Braun。Erysiphe pileae (Jacz.) Bunkina ex Braun は "nom. nud." [裸名]。
・高松 (2012): Erysiphe pileae (Jacz.) Bunkina。Erysiphe pileae U. Braun は "nom. Illeg." [非合法名]。
・Mycobank: Erysiphe pileae U. Braun。Erysiphe pileae として他に2件登録されていて、
E. pileae (Jacz.) Bunkina (Invalid)、E. pileae (Sawada) R.Y. Zheng & G.Q. Chen (Illegitimate) となっている。
・Index Fungorum: Erysiphe pileae U. Braun。コメント欄 (Editorial comment) には
"Published September 1981, as '(Jac.) Bunkina ex U. Braun sp. nov.'. Based on Erysiphe pileae (Jacz.) Bunkina, 1974, nom. inval., Art. 33.2" とある。
Erysiphe pileae (Jacz.) Bunkina のコメントは "Nomenclatural comment: Nom. inval., Art. 41.4. (Melbourne). Editorial comment: Basionym not indicated"。
現行規約では Uwe Braun を著者とするのが正しいようである。
[参考文献]
Braun (1981): Miscellaneous notes on the Erysiphaceae (II). (Feddes repertorium ; 92(7-8), p. 499-513).
大谷 (1988): 日本菌類誌. 第3巻、子のう菌類. 第2号、ホネタケ目・ユーロチウム目・ハチノスカビ目・ミクロアスクス目・オフィオストマキン目・ツチダンゴキン目・ウドンコキン目.
高松 (2012): 2012年に発行される新モノグラフにおけるうどんこ病菌分類体系改訂の概説. (三重大学大学院生物資源学研究科紀要 ; 38, p. 1-73).
[初掲載日: 2023.10.27] //
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