Geoglossum sp. no.1

Geoglossum sp. no.1

Geoglossum sp. no.1
ヒメテングノメシガイ属菌。11月3日撮影。

[特徴]
子実体は子実層のある頭部と柄からなり、高さ 12 mm. 程度まで。 頭部はそろばんの玉状あるいは下面は縁部が内側に小さく捲き込んで傘状、径 3-5 mm. 程度、上面はほぼ黒色、平滑、下面も黒色、ややざらつく。子実層は上面にのみ形成される。 柄は径 1.5-2.5 mm.、黒褐色、無毛、ほとんど平滑、ルーペ下では細かいささくれ状でざらついて見える。肉質は軟らかく、中実で内部はほぼ淡乳白色。表面に粘性は無い。-- 子嚢は棍棒形、薄壁、先端はやや尖って肥厚し頂孔はメルツァー試薬で青変する。8胞子を束状に生じる。230-255 × 20-22 μm. -- 側糸は糸状、隔壁があり、径 2.5-3.5 μm.、殆んど無色、先端細胞は長さ 40-65 μm.、ほとんど屈曲せず、棍棒状に膨らんで淡褐色を帯び、径 9 μm. までになる。 時に先端付近がかなり濃色になり、短い細胞が Oidium 状につながるものがあり、最大径は 12 μm. になる。-- 子嚢胞子は円筒形、褐色、平滑、僅かに弓状に曲がる物が多い。上端は丸く、末端側はやや細まる。ほぼ等間隔に15隔壁を生じる。120-148 × 5.5-6.0 μm. -- 組織髄層は絡み合い菌糸組織、ほぼ無色で 28-80 × 8-15 μm. 程度の曲がりくねったソーセージ形の細胞からなる。 柄の外皮層はほぼ平行に走る菌糸層で、表面からは数珠状に連なった細胞が立ち上がる。細胞はやや厚膜、褐色、楕円形、8.5-17 × 7-11.5 μm. で所々房状にまとまって盛り上がる。 頭部下面の外皮層は厚さ 150 μm. 程度まで、11-28 × 5.5-18 μm. 程度のやや角ばった球形ないし楕円形で褐色の細胞からなり、縁部では繋がって不規則な数珠状に並ぶ。

[コメント]
落葉樹林内の遊歩道わきにぽつぽつと発生していたもの。Geoglossum 属には間違いないだろう。子実体頭部は厚い傘形に拡がっていて、子実層は上面だけに発達する。 十数メートルの範囲で観察した子実体すべてが同じ特徴だったので、安定した特徴と考えていいと思うが、 Geoglossum 属で頭部がこのような形状の種は見当たらず、異常型かもしれない。子嚢胞子が15隔壁の種は G. pumilum 等がある。

[別図2] 11月3日撮影。

[参考文献]
Imai (1941): Geoglossaceae Japoniae. (Journal of the Fac. of Agr. Hokkaido Imp. Univ. ; 45(4). p. 155-264).

[初掲載日: 2019.03.15] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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