Golovinomyces sonchicola

Golovinomyces sonchicola

Golovinomyces sonchicola U. Braun & R.T.A. Cook
ノゲシうどんこ病菌。5月30日撮影。

[特徴]
菌叢は両面性、葉柄や茎にも発生し、白色、ほぼ全面に拡がって膜状になり、古くなるとやや褐色を帯びる。菌糸は永存性、径 5-7.2 μm.、付着器は互生し、乳頭状あるいは僅かに凹凸があり、径 5-8 μm. -- 裂子嚢殻は菌叢中に群生し、扁球形、暗褐色、径 110-130 μm.、表面は各辺がやや波打った径 10-35 μm. 程度の多角形細胞からなり、7-12個程度の子嚢を生じる。 付属糸は基部付近から生じ、正確に数えることはできなかったが20本程度あるいはそれ以上、曲がりくねりながら周囲に放射状に伸び、菌糸状、分岐は少なく、やや厚膜、隔壁があり、平滑、褐色、先端に向かって淡色、長さ 170-200 μm. 程度あるいはそれ以上になり、基部付近で径 8-9.2 μm.、先端付近で 4-6 μm. 程度。-- 子嚢は卵形、短柄があり、先端はやや平らになる。2胞子を生じる。45.8-66 × 22-37 μm.、柄部は長さ 8-15 μm. -- 子嚢胞子は広楕円形、無色あるいはわずかに黄色味を帯び、薄壁、平滑、内容物は泡状、24.3-28.6 × 13.4-15 μm. -- 分生子世代を観察できなかった。

[コメント]
ノゲシ (Sonchus oleraceus) に発生していたもの。乳頭状の付着器、菌糸状の付属糸、複数の子嚢、子嚢胞子は子嚢中に2個、等の特徴から Golovinomyces 属だと思う。 以前は Erysiphe cichoracearum (= G. cichoracearum) とされることが多かったキク科に発生する同属菌は最近細分化され、ノゲシ上の菌は G. sonchicola とされている。 幾つか文献を調べたが、分生子世代のみの記述のものが多く、Cook and Braun (2009) の原記載以外の完全世代の記述を参照できていない。 採集品では分生子を確認することができないが、完全世代の特徴は良く一致する。なお、ノゲシには別のうどんこ病菌 Podosphaera xanthii も発生する。

[参考文献]
Cook and Braun (2009): Conidial germination patterns in powdery mildews. (Mycological research ; 113, p. 616-636).
高松 (2012): 2012年に発行される新モノグラフにおけるうどんこ病菌分類体系改訂の概説. (三重大学大学院生物資源学研究科紀要 ; 38, p. 1-73).

[初掲載日: 2024.08.20] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
All rights reserved. Copyrighted by Masanori Kutsuna, 2024.