Haradamyces foliicola
Haradamyces foliicola Masuya, Kusunoki, Kosaka & Aikawa
輪紋葉枯病菌。7月25日撮影。
[特徴]
葉に病斑を生じる。
病斑は茶褐色ないし赤褐色、ほぼ円形に拡がり、周辺部は黒褐色、境界は明瞭。同心円状の輪紋があるが、やや不明瞭で認めにくいことも多い。
病斑中、普通は葉表側に繁殖体 (propagule) が散生する。寄主組織中の子座様組織から生じ、表皮を破って現れ、
肉厚倒円錐形の盤状、上面は平滑でやや凸型、くすんだ白色ないし象牙色、中央付近は淡茶褐色を帯び、径 250-570 μm.、縁は丸く、外面も平滑、淡茶褐色、やや太く短い柄がある。
乾いたり、古くなった繁殖体は容易に脱落する。内部は径 25 μm. 程度までの丸みを帯びた無色の細胞からなり、外面の細胞はやや淡褐色を帯びる。
上面は 13-18 × 2.8-4 μm. の淡褐色の円柱状細胞が柵状に並び、縁部の細胞は2叉分岐して、先端が丸く膨らんだ太く短いY字形になり、後にはやや伸長する。
繁殖体縁部付近には、球形、ほとんど無色、薄壁、径 1.5-2.5 μm. 程度の分生子様の細胞が付着していることがあるが、形成様式は未確認。
[コメント]
ツバキ (Camellia japonica) の新しい落葉に発生したもの。サザンカ等のツバキ科植物をはじめ、主に木本性の多くの植物の葉に発生し、比較的普通に見つかる。
肉眼的には小型のビョウタケ類のような形で、正体を知らなかった頃は大事に持ち帰ってがっかりしたこともあった。
長い間所属不明で学名も付けられていなかったが、Masuya et al. (2009) によって新属新種として命名された。基準標本はアメリカヤマボウシ (Cornus florida) 上のもの。
完全世代は確認されていないが、DNA解析によりキンカクキン科 (Sclerotiniaceae) に属することが判っている。
寄主によって病斑の特徴はやや異なるようで、ツバキでは表皮が浮いたようになることがある。多犯性だが、陶山・升屋 (2006) によって2系統の存在が示唆されている。
[別図2]
7月25日撮影。
[参考文献]
Masuya et al. (2009): Haradamyces foliicola anam. gen. et sp. nov., a cause of zonate leaf blight disease in Cornus florida in Japan. (Mycological research ; 113, p. 173-181).
周藤 (1977): ツバキ輪紋葉枯病(新称). (森林防疫 ; 26(4), p. 49-51).
陶山・升屋 (2006): 数種宿主における輪紋葉枯病菌の系統比較 -とくにサカキとツバキについて-. (日本菌学会50周年記念大会講演要旨集 ; セッションID 7-C).
[初掲載日: 2024.10.01] //
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