Helvella atra
Helvella atra Koenig: Fr.
クロアシボソノボリリュウ。6月29日撮影。
[特徴]
子嚢盤は鞍形、径 1-3 cm.、時に歪んだり裂け目が入ったりする。子実層面は平滑、灰褐色ないし黒褐色、
縁は全縁でやや波打ち、裏面は淡色で平滑、時に柄と癒着する。
柄は円柱形、時に潰れたようになる事もある。高さ 3-10 cm.、径 2-5(-8) mm.、表面は微毛状、乳白色ないし灰褐色、普通は上部ほど濃色。中実で、白色の髄状。--
子嚢は円筒形、有蓋、薄壁、メルツァー試薬に呈色せず、8胞子を普通は1列に生じる。270-350 × 14-20 μm. --
側糸は糸状、隔壁があり径 3-3.5 μm.、先端は膨らんで 5-7.5 μm. になる。内容は僅かに灰褐色を帯び一様あるいは細かい泡状。--
子嚢胞子は広楕円形、無色、平滑、中央に大きな油球があり、その両側に小さな油球が数個ある。19.4-20.3 × 13.7-15.0 μm. --
托髄層は径 2.4-6.2 μm. の菌糸からなる密な絡み合い菌組織、外皮層は厚さ 100 μm. 程度まで、角ばった楕円形細胞よりなり、最外層は 25-40 × 10-20 μm. の電球状の細胞が並ぶ。
柄表面は角ばった楕円形の細胞が連なった毛が房状になり立ち上がり 200 μm. 程度にまでになる。各細胞は 15-38 × 8-20 μm. 程度。
[コメント]
初夏から秋頃、林内地上に散生する。
国内の図鑑(例えば「日本のきのこ」(山と溪谷社)など)にクロアシボソノボリリュウ = Helvella atra として掲載されているものと同じ種であることは間違いないが、
海外の図鑑に掲載されている Helvella atra には少し様子が違うものがあって、特に柄の色の違いが気になる。
京都付近のクロアシボソノボリリュウの柄はオフホワイトから灰色の場合が多く、ヨーロッパ産の様な暗色の柄の子実体にはあまり出会わない。
右側の頭部が白いのはアルビノ。私の通っているフィールドでは割とよく見かける。子実体の色以外に違いは見られない。
[別図2]
6月30日撮影。
[参考文献]
Abbott and Currah (1997): The Helvellaceae: systematic revision and occurrence in northern and northwestern North America. (Mycotaxon ; 62, p. 1-125).
Dissing (1966): The genus Helvella in Europe with special emphasis on the species found in Norden. (Dansk botanisk arkiv ; 25(1). p. 1-172).
[最終更新日: 2014.10.17]