Helvella crispa
Helvella crispa (Scop.) Fr.
ノボリリュウ。9月7日撮影。
[特徴]
子実体は地上に単生あるいは散生する。頭部は不規則な鞍状になり径 3-6 cm.、表面は平滑か多少波打つ。淡黄土色やクリーム色など。
縁は初め内側に巻くが後にはやや反り返ることもある。柄と接する事もあるが合着しない。
裏面は平坦で細かい絨毛状、表面よりやや濃く肌色やベージュ色。
柄は乳白色、クリーム色、淡ベージュ色など、縦の深い溝があり高さ 8 cm. 程度まで、幅はほぼ上下同じで 1-2.5 cm. 程度。表面はほとんど平滑。
横断面は二叉分枝を繰り返す樹枝状に見える。--
子嚢は円筒形、薄壁、メルツァー試薬に呈色しない。8胞子を一列に生じる。250-290 × 15.0-17.2 μm. --
側糸は糸状、隔壁があり内容はほぼ一様で無色。直径 3.0-4.5 μm.、先端は棍棒状に膨らんで 10 μm. 程度になる。--
子嚢胞子は広楕円形、無色平滑。大きな油球を一つと少数の小さな泡状内容物を含む。16.8-20.0 × 10.8-12.4 μm. --
托髄層はやや密な絡み合い菌組織で菌糸は所々球状に膨らむことがある。外被層はやや縦長の楕円形ないしやや多角形の細胞層からなり、
絨毛は 16-35 × 8-14 μm. 程度のやや厚膜の細胞の束よりなり高さ 200 μm. までになる。
[コメント]
林内地上に発生する。汎布種で図鑑にも良く掲載されているが京都付近ではあまり多くない。
山と渓谷社の「日本のきのこ」には「子嚢盤の下面には幼時軟毛を生じる」とあるが観察した限りでは成熟すると脱落するということはなく、
胞子を噴出するような子実体でも裏面は絨毛状である。
[別図2]
庭園内のモミ樹下に発生していた物。9月6日撮影。
[参考文献]
Abbott and Currah (1997): The Helvellaceae: systematic revision and occurrence in northern and northwestern North America. (Mycotaxon ; 62. p. 1-125)
Dissing (1966): The genus Helvella in Europe with special emphasis on the species found in Norden. (Dansk botanik arkiv ; 25(1). p. 1-172)
[初掲載日: 2007.07.06, 最終更新日: 2016.10.07]