Helvella macropus

Helvella macropus

Helvella macropus (Pers.) Karst.
ナガエノチャワンタケ。5月26日撮影。

[特徴]
子実体は地上に単生あるいは散生する。子嚢盤は椀形から平たい皿形になり、後には反り返ることもあるが、不規則に反転し、典型的な鞍形にはならない。径 15-30 mm. 程度。 子実層面は淡灰色からねずみ色、あるいはやや黄褐色を帯びる。縁は全縁。外面もほぼ同色だが、灰白色のやや粗い絨毛に被われ白っぽく見える。 柄は円柱状、淡灰色で子実層面より僅かに淡色、全体が同様の絨毛に被われる。高さは 3-8 cm.、幅 3-6 mm. 程度、普通は上方に向かって僅かに細まり、時に扁平になって部分的に凹む事がある。-- 子嚢は円筒形、有蓋、メルツァー試薬に呈色しない。8胞子を一列に生じる。232-300 × 13-20 μm. -- 側糸は糸状、隔壁があり、少なくとも上半では分岐は認められない。径 2.5-3.4 μm.、先端は次第に膨らんで 8.0 μm. までになる。内容は無色。--- 子嚢胞子は広紡錘形、無色、薄壁、表面は細かい疣状で、疣はコットンブルーによく染まる。典型的には3油球を含み、中央の油球が最大。 子嚢胞子の表面には時に大きな塊状の原形質様の物質が付着し、粗い疣状になることがある。20.0-25.8 × 10.5-13.5 μm. -- 托髄層は無色で隔壁のある薄壁の径 2.5-4.0 μm. 程度の菌糸からなる密な絡み合い菌糸組織で、所々に膨らんだ細胞が混じる。 外皮層は厚さ 150 μm. 程度まで、やや厚膜で無色の細胞からなる。細胞は 14-40 × 8-21 μm. 程度、丸みを帯びた多角形や円柱形あるいは樽形でやや連鎖状に並び外面の絨毛に繋がる。 外面の絨毛は鎖状に繋がった樽型ないし楕円形の細胞が集まり細円錐状の束になったもので、長さ 250-350 μm. 程度、縁部ではやや長めになる。

[コメント]
広葉樹林内地上に春から秋まで発生し、比較的普通種。腐朽の進んだ朽木上に発生することもある。肉眼的には大きさや色合いの変異が大きい。 子嚢胞子は一様に微疣状のものの他に、大きな不定形の疣が散在するものがあって、ひとつの子実体に混在するが、後者はむしろ異常なもののように見える。 紡錘形(ラグビーボール形)の子嚢胞子をもつ Helvella 属菌は日本ではこれ一種類だけだと思う。

[別図2] 6月18日撮影。

[参考文献]
Dissing (1966): The genus Helvella in Europe with special emphasis on the species found in Norden. (Dansk botanisk arkiv ; 25(1). p. 1-172).

[最終更新日: 2018.11.09]