Hymenoscyphus sp. no.18

Hymenoscyphus sp. no.18

Hymenoscyphus sp. no.18
ニセビョウタケ属菌。3月30日撮影。

[特徴]
落葉にやや群生する。子実体は有柄ビョウ型、子嚢盤はほぼ平開し、半透明で僅かにオレンジ色を帯びたピンク色、径 1 mm. 程度まで、縁は全縁、外面は平滑。 柄は子嚢盤の径と同長からやや長く、半透明乳白色。-- 子嚢は棍棒形、先端は僅かにドーム型に突出して肥厚し、頂孔はメルツァー試薬で青変する。 基部にかぎ形構造は見られない。8胞子をほぼ一列(後には一部2列になる)に生じる。94-100 × 11-12 μm. -- 側糸は糸状、上下同幅、下方で分岐し、隔壁がある。上半にはほぼ無色の油球状内容物が少量ある。径 1.4-2.0 μm. -- 子嚢胞子は楕円ないし広卵形、無色、薄壁、平滑、両極付近に小型の油球が少数ある。後に中央に隔壁を生じて2細胞になり、僅かに緑褐色を帯びる。13.8-17.2 × 6.0-6.6 μm. -- 托組織の詳細を観察できなかった。表面細胞は矩形状の無色薄壁の細胞で 17-35 × 5.5-11.4 μm.、縁に向かって小型になり、 縁部では柵状に並び、縁の末端細胞はやや膨らんで棍棒状、7-14 × 2.8-3.5 μm.、大きな油球状の内容物が先端近くにあり、メルツァー試薬で赤紫色になる。

[コメント]
窪地に厚く堆積して湿った落葉層の底部にあったアラカシ (Quercus glauca) の落葉の裏面に生じていたもの。 落葉は大半が黒っぽく変色していたが、一部緑色が残っていたので比較的新しいものだと思う。 子実体周辺に、淡褐色で立体的な螺旋形の分生子を形成するカビが観察できた。Helicodendron 属の菌かと思う。 Helicodendron のテレオモルフとして Hymenoscyphus、Lambertella、Mollisia といったビョウタケ類が記録されているので、関係があるのかもしれない。 この菌の子嚢胞子は子嚢から放出される時は無色なので Hymenoscyphus 属の一種、としておく。

[初掲載日: 2023.06.30] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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