Hymenoscyphus sp. no.5
Hymenoscyphus sp. no.5.
ヤマザクラの種子に生じる小型のビョウタケ類。5月17日撮影。
[特徴]
子嚢盤は一つの種子から1ないし数本生じる。有柄で初め浅い椀形からほとんど平らに開く。直径 1-3 mm.
子実層面は淡黄色ないし山吹色。外面は白っぽく、ほとんど平滑。
柄は細く径 0.3 mm. 程度。長さは 2 mm. 程度から種子が深い場合は長く伸びて 15 mm. 程度までになる。ほとんど白色。--
子嚢は円筒形、8胞子を初め一列に生じるが後にはほぼ2列になる。頂孔はメルツァー液で青変する。80-87 × 5.7-6.4 μm. --
側糸は糸状、径 1.0-1.5 μm.、先端はわずかに膨らんで 2.5 μm. までになる。上半には細かい泡状の内容物がある。--
子嚢胞子は長楕円形ないし長卵形でほとんど無色薄壁。両端付近には細かい内容物があるものが多い。
成熟した胞子は中央付近に隔壁を一つ生じるものがある。10.7-12.8 × 2.8-3.5 μm. --
托髄層は無色の絡み合い菌組織、外皮層は厚さ 50-70 μm. の矩形菌組織で、無色の 24-40 × 6-9 μm. の細胞からなる。
柄の表面からは短い棍棒状の毛状菌糸がまばらに立ち上がる。10-16 × 3.0-5.2 μm. で少数の油球を含む。
[コメント]
春から初夏にかけてヤマザクラ類の種子から発生する。樹下のかなり湿った場所に固まって発生していることが多い。
夏、ほとんど区別できない種類がミズキ (Cornus controversa) と思われる種子から発生する。
[別図2]
8月30日撮影。ミズキと思われる種子から発生した物。
[初掲載日: 2005.06.15, 最終更新日: 2010.04.16]