Hypoderma ilicinum

Hypoderma ilicinum

Hypoderma ilicinum DeNot.
 クヌギの落葉上に生じる Hypoderma 属菌。9月11日撮影。

 [特徴]
 子実体は落葉上、両面に生じる。
 黒褐色の帯線に囲まれた径 5-15 mm. 程度の不定形淡色の部分に、数個から十数個ほどが散在する。
 黒色広紡錘形で長径 0.8 mm. 程度、黒色の殻皮に覆われ縦にスリット状の裂け目がある。
 成熟すると裂け目に沿って開口し、乳白色ないし灰色の子実層が現れる。
 子嚢は長棍棒状、下半はやや細長く伸びる。メルツァー試薬による顕著な反応は無く、先端はほとんど肥厚しない。
 8胞子をやや不規則な2列に生じる。77-95 × 8.5-10.7 μm.
 側糸は鞭状無色、径 1.0-2.0 μm. 程度。上半は屈曲し子嚢よりわずかに長い。
 子嚢胞子は長ボート形でやや左右不対称なものが多い。無色薄壁。内容は一様ないし少数の泡状物を含む。
 胞子は薄い被膜に覆われるが認められない胞子も多い。18.6-22.9 × 2.5-3.2 μm.

 クヌギ (Quercus acutissima) の落葉に比較的普通に見られる。
 白い病斑中には直径 0.2 mm. 程度、褐色円板状の柄子殻のようなものが散在する。
 分生子を確認できていないが Hypoderma の分生子世代だと思う。

 [参考文献]
 Ellis and Ellis (1997): Microfungi on land plants : an identification handbook. New enl. ed.