Hypomyces sp. no.2

Hypomyces sp. no.2

Hypomyces sp. no.2.
ベニタケ類上のヒポミケス属菌。8月8日撮影。

[特徴]
ベニタケ類のキノコに発生する菌寄生菌。 寄主は子実体全体が白色ないし淡いピンク色の菌糸に密に覆われて奇形化し、傘の発達は不完全、ひだ部分は低い皺状となる。 菌糸はほぼ無色、薄壁、隔壁があり頻繁に分岐する。径 4-5.8 μm.。 子嚢殻は寄主の傘上面以外のほぼ全体、柄の基部付近にまで形成される。-- 子嚢殻は洋梨形、やや赤みを帯びた淡い蜜色ないし淡肌色、上半のみが菌糸上の表面に現れる。直径 280-300 × 高さ 380-430 μm. 程度。KOH 水溶液では変色しない。-- 子嚢は円筒形、先端はやや平らで肥厚し、キャップ状に見える。メルツァー試薬で呈色しない。8胞子をほぼ一列に生じる。190-200 × 6.2-6.8 μm. -- 子嚢胞子は紡錘形でやや左右不対称、無色、ほぼ中央に隔壁があり2細胞、表面はやや粗い疣状、両端には円錐形の突起がある。32.8-34.4 × 5.7-6.3 μm. -- 分生子や厚膜胞子は観察できなかった。

[コメント]
広葉樹林内の地上で、柄の直径が 3-4 cm. になるかなり肉厚大型のキノコに生じていたもの。 付近に正常な寄主と思われるキノコが見当たらなかったので寄主の種類は特定できないが、おそらくベニタケ科、 乳液が観察できなかったので Russula 属だと思う。Rogerson and Samuels (1994) の検索表では Hypomyces macrosporus Seaver に落ちる。 H. macrosporus Seaver は H. lactifluorum (Schw.: Fr.) Tulasne のアルビノに過ぎない、との意見もある。 寄生されたキノコは数メートル四方に10本程あったけれど、色調はどれも同じだった。 寄主の傘上面もヒポミケスの菌糸で厚くおおわれるが子嚢殻は周辺部にまばらに生じるのみである。

[別図2] 拡大。8月8日撮影。
[別図3] 2014年もほぼ同一地点で発生を確認できた。発生の坪があるようだ。寄主と思われる正常なキノコはやはり見つからなかった。7月29日撮影。

[参考文献]
Rogerson and Samuels (1994): Agaricicolous species of Hypomyces. (Mycologia ; 86(6), p. 839-866).

[初掲載日: 2014.06.09, 最終更新日: 2014.08.04]