Hypoxylon sp. no.1
Hypoxylon sp. no.1.
クロコブタケ類。8月11日撮影。
[特徴]
倒木上に発生する。不正楕円ないし雲形に広がり、径 2 cm. から 10 cm. 程度になり、厚さは 1mm. 以下。
表面は赤褐色から赤さび色の物質が付く。表面には孔口が小さい黒点状に見えるが突出せず、むしろくぼんで見える。
全体やや軟らかい炭質で断面は黒く子嚢殻が密に一層に並ぶ。子実体は水酸化カリウム溶液で橙褐色から赤褐色の色素を出す。--
子嚢殻は楕円形、480 × 200 μm. 程度。--
子嚢は円筒形、末端は伸びて尾状になる。8胞子を一列に生じる。先端にはメルツァー液で青変する構造があり、二つの点状に見える。128-180 × 5.1-6.3 μm. --
側糸は繊細で無色の糸状、隔壁がある。--
子嚢胞子は不対称楕円形、黒褐色で平滑。未熟時には二つの油球が目立つが後には不明瞭になる。
膨らんだ側にほぼ全長に亘る直線状の発芽スリットがある。11.7-13.2 × 4.5-5.2 μm.
[コメント]
樹種不明の伐採木の樹皮上にに生えていたもの。子座の下部の材は白腐れになっていて周囲とは黒色の帯線で区切られる。
H. rubiginosum (タイシャコブタケ)が近いと思うが、図鑑に図示されているものと少し様子が違う。
たとえば山と溪谷社の「きのこ」の写真では個々の子嚢殻の凹凸が表面からかなり明瞭に区別できるように見える。
Fungi of Switzerland の写真では断面が図示されているが子座内部は白っぽい上に表面観がかなり異なる。
[初掲載: 2007.11.13]