Hysterium pulicare
Hysterium pulicare (Lightf.: Fr.) Pers.
クロミモジタケ。11月26日撮影。
[特徴]
樹皮上に群生する。子嚢殻は表在性でいわゆるヒステリウム型、両端の丸いボート型、長楕円形などで時に屈曲する。やや炭質で硬く黒色。
表面はつやがあり縦軸に沿って中央に裂目があり、時に裂目と平行に不明瞭な溝線が見られる。
裂目はほとんど閉じているが、熟時には僅かに開いて子実層を表す。0.3-0.4 × 0.5-1.5 mm.、高さは 0.3 mm. 程度。--
子嚢は棍棒形、厚膜、顕著な先端構造は無く、メルツァー液で呈色しない。
8胞子を初め一列に生じるが後にはやや2列になって先端に固まる。11.4-14.4 × 110-129 μm. --
側糸は糸状、無色、径 1 μm. 程度、先端付近はやや褐色の内容物があるように見える。子嚢より長く、屈曲し子実上層を形成する。--
子嚢胞子は楕円形ないし長卵形、やや左右不対称、平滑、横にほぼ等間隔に3隔壁があり4細胞。隔壁部はほとんどくびれない。
中央の2細胞は緑褐色で未熟時には一個の油球を含むものが多い。両端の2細胞はやや淡色。6.6-7.8 × 18.0-21.8 μm.
[コメント]
広葉樹の生木の樹皮上に群生する。ブナ科やカバノキ科の樹木の樹皮上でよく見るが、あまり樹種を選ばないようで、
街路樹のプラタナス上でも見た事がある。子実体はほぼ年中観察できるが子嚢胞子が成熟するのは秋の様である。
[参考文献]
Boehm et al. (2009): A molecular phylogenetic reappraisal of the Hysteriaceae, Mytilinidiaceae and Gloniaceae (Pleosporomycetidae, Dothideomycetes) with keys to world species. (Studies in mycology ; 64, p. 49-83).
[初掲載日: 2011.12.12]