Jafnea fusicarpa

Jafnea fusicarpa

Jafnea fusicarpa (Gerard) Korf.
[ビロウドチャワンタケ]。7月14日撮影。

[特徴]
子嚢盤は地上生で深い椀形。直径 5-25 mm. 深さ 15 mm. までになる。子実層面、外面ともベージュっぽい淡褐色。 外面はほとんど平滑だが縁には短い褐色の剛毛が密生し、肉眼では黒っぽくざらついた様に見える。 ほとんど無柄で地表に固着するが、基部は砂粒が付着した短い根状になって地中に入る。-- 子嚢は円筒形、8胞子を一列に生じる。ヨード反応は無く、基部は二叉になる。300-350 × 16.0-20.0 μm. -- 側糸は糸状、基部付近に分岐があり下半には隔壁が少数ある。基部付近で径 4-5 μm. 先端は次第に膨らんで 10 μm. までになる。 内容物は一様でほとんど無色だが、時に全体が黄褐色になるものがある。-- 子嚢胞子は紡錘形やや左右不対称。全体に細かい疣があるが両端付近の疣はやや大型になる。大きな 2油球を含む。31.0-42.0 × 11.5-13.0 μm. -- 縁毛は褐色で厚膜、数個の隔壁があり先は丸い。75-300 × 10-20 μm.

[コメント]
夏季に湿った砂地の地上等で見かけるがあまり多くない。偶然かもしれないがオニグルミの樹下で何回か採った。

[別図2] 6月29日撮影。コケのまばらに生えた砂地の地上に発生したもの。 「日本きのこ図版」の no. 532 と 803 に取り上げられているビロウドチャワンタケはこの種ではないかと思う。 no. 803 の方は1972年7月8日に京都大学理学部の植物園で四手井淑子氏によって採集されたものである。 上掲の写真も同植物園で撮影したもので、一坪ほどの狭い範囲にほぼ毎年発生している。 6-7月頃に発生するが、10月頃にも少数発生する事がある。 私が最初に採集したのは1982年だが1998年以降は毎年(2010年まで)発生を確認しているので、 四手井氏採集の菌と同じものだとすると40年近くに亘って発生し続けている事になる。

[参考文献]
Korf (1960): Jafnea, a new genus of the Pezizaceae. (Nagaoa ; 7, p. 3-9)
Rifai (1968): The Australasian Pezizales in the herbarium of the Royal Botanic Gardens Kew. (Verhandlungen der Koninklijke Nederlandse Akademie van Wetenschappen. Afd. Natuurkunde ; 56/3)
Seaver (1942): The North American cup-fungi. (with supplement)

[初掲載日: 2004.07.18, 最終更新日: 2009.07.28]