Lachnellula pulverulenta
Lachnellula pulverulenta (Karst.) Sasagawa & Hosoya
マツの落葉に生じるヒナノチャワンタケモドキ属菌。4月10日撮影。
[特徴]
マツの落葉上に群生する。子嚢盤は椀状から浅い皿状になり直径 0.5-1.2 mm.、子実層面はクリーム色、外面はほぼ白色の毛に覆われるが、
ルーペ下では細かいレンガ色の付着物が観察できる。柄は短いか殆んど無く、同様の毛で覆われる。--
子嚢は細棍棒形、上端はやや円錐形で肥厚し、頂孔はメルツァー液で青変する。8胞子を2列に生じる。37-45 × 3.4-5.2 μm. --
側糸は直線的な糸状、無色、基部付近で分岐し隔壁がある。径 1.5 μm. 程度、先端は僅かに細まるが顕著には尖らない。子嚢と同長あるいは僅かに長い。--
子嚢胞子は末端がやや尖った楕円形(リンゴの種状)、無色、顕著な内容物は認めにくい。 5.0-5.4 × 1.8-2.2 μm. --
外面の毛は薄壁、少数の隔壁があり、内容物は無色あるいはやや黄色味を帯びる。
直径 2.5-3.2 μm.、長さは 85 μm. までになり先端は丸く、僅かに膨らむ場合もある。
表面は全体に細かい顆粒状で所々に黄褐色のヤニ状の物質が付着する。
[コメント]
比較的古いマツ(アカマツ)の落葉に群生し、春先に良く見かける。
Dennis の図鑑では外面がかなり赤っぽく図示されていてずいぶん様子が違うが、
私の採集した物も乾燥させた標本では外面のレンガ色が濃く見えるのでこの種で合ってると思う。
Lachnum 属 (Lachnum pulverulentum) とされていたが、細矢ら (2010) は Lachnellula 属に置いている。
[参考文献]
Hosoya et al. (2010): Molecular phylogenetic studies of Lachnum and its allies based on the Japanese material. (Mycoscience ; 51, p. 170-181).
Tanaka and Hosoya (2001): Hyaloscyphaceae in Japan (4): new records of the genus Lachnum. (Mycoscience ; 42, p. 597-609).
[初掲載日: 2012.04.11]