Lachnum pygmaeum
Lachnum pygmaeum (Fr.) Bresàdola
ラクヌム ピグマエウム。10月13日撮影。
[特徴]
子実体は単生あるいは散生する。子嚢盤は浅い椀状から皿状に平開し、径 2-3 mm.、子実層面は山吹色ないし淡橙黄色、縁は全縁で僅かに白く縁どられる。
外面はほぼ同色、肉眼ではほぼ平滑、ルーペ下では白っぽい微粉状に見える。柄は比較的長く、下方に向かって細まり、基部には植物の細根が絡み付く。--
子嚢は円筒形、先端はやや円錐状になって肥厚し、頂孔はメルツァー試薬で青変し、基部にはかぎ型構造がある。8胞子をほぼ2列に生じる。78-83 × 5.7-6.3 μm. --
側糸は太針状で先端はやや丸く、下半に隔壁があり、内容はほぼ一様で僅かに黄色味を帯び、最大径 2.8-4 μm.、子実層より 5-10 μm. 程度突出する。--
子嚢胞子は細楕円形ないし両端の丸い長紡錘形、無色、薄壁、平滑、顕著な内容物は見られない。9.0-11.5 × 1.6-2.0 μm. --
托組織髄層は径 2-3 μm. の菌糸からなる密な絡み合い菌糸組織からなり、やや黄色味を帯びる。
外皮層は厚さ 55-70 μm.、ほぼ無色で薄壁、径 6-20 μm. 程度の丸みを帯びた多角形あるいはやや矩形状の細胞からなる。
外面の毛は最外層の細胞から立ち上がり、菌糸状で先端は丸く、少数の隔壁があり、無色、薄壁、表面は無色で細かい顆粒状、15-60 × 3-4.8 μm.
[コメント]
ススキやネザサ類等が優先する草地の地表附近に発生していたもの。基部をたどることは難しいが、イネ科植物の細根から発生しているように見える。
Lachnum 属としては比較的大型で、外面の毛は短く、肉眼では Hymenoscyphus 属を思わせる。White (1942) には多くのシノニムが挙げられているが、おそらく複合種で、分割されるものだろう。
Suková (2005) は単子葉植物の根等から発生する種として、子嚢がかぎ形構造から生じる種 (Lachnum sp.) と、そうでない種 (Lachnum rhizophilum) が区別できるとしているが、それだけではなさそうである。
ここでは広義の L. pygmaeum としておく。日本産の記録として、長尾 (2001) がある。
倒木、落枝および材上に発生するもので、子嚢盤は径 0.5 mm. まで、子嚢胞子は 3-6 × 1 μm.、毛には細かい橙色を帯びた粒状の結晶が付着する、とあるから、少なくとも私の採集品とはかなり異なる。
[別図2]
10月13日撮影。
[参考文献]
Suková (2005): A revision of selected material of lignicolous Lachnum species from the Czech Republic with a note on graminicolous material of the Lachnum pygmaeum complex. (Czech mycology ; 57(3-4), p. 183-219).
White (1942): Studies in the genus Helotium II. Lachnum pygmaeum and the status of the genus Helolachnum. (American midland naturalist ; 28, p. 512-523).
長尾 (2001): 自然教育園に発生した盤菌綱菌類. (自然教育園報告 ; 33, p. 31-39).
[初掲載日: 2024.10.20] //
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