Lachnum sp. no.15
Lachnum sp. no.15
ヒナノチャワンタケ属菌。12月19日撮影。
[特徴]
シイの落葉に発生する。子嚢盤は浅い皿状に開き、後には凸形に反り返るものがある。径 0.4-0.8 mm.、子実層面はほぼ白色、古い子実体はクリーム色あるいは僅かにピンク色を帯びる。
外面も白色、微毛状で縁付近ではやや長く顕著。柄は細長く、長さは 2.5 mm. に達し、径 60-100 μm.、表面は微毛状、白色。--
子嚢は長棍棒形、先端はやや円錐状になって僅かに肥厚するが、頂孔はメルツァー試薬での呈色が確認できない。基部にかぎ形構造は無い。8胞子を束状に生じる。77-88 × 5.0-5.8 μm. --
側糸は直線的太針状、内容は無色で一様、径 2.0-2.4 μm.、先端は細まってやや丸く、子実層より 5 μm. ほど突出する。--
子嚢胞子は両端の尖った針状で、射出されたものはほぼ直線的、無色、薄壁、隔壁は無く、顕著な内容物は認められない。 60-75 × 0.5-0.7 μm. --
托組織の詳細は観察できなかった。表面の細胞は 8-15 × 5.5-8.5 μm. 程度の丸みを帯びた無色薄壁の矩形細胞で、縁に向かって細長くなり縁では幅 3 μm. 程度、長さは 30 μm. 程度までになる。
外面の毛は無色、薄壁、表面は細かい顆粒状、下半に少数の隔壁がある。全長 70-85 μm.、基部付近で径 3.5-4.0 μm.、先に向かってやや細くなり、
先端付近で径 2.5 μm. 程度、先端は丸い。先端には無色の細かい針状結晶が固まって付着するが、水封プレパラート中で消失しやすく、古い子実体では観察できない。
[コメント]
初冬頃、ツブラジイ (Castanopsis cuspidata) の落葉に群生する。近くにはアラカシやクヌギの落葉もあったが、発生はツブラジイの落葉にのみ見られた。
落葉の両面どちらにも発生し、裏面側の方にやや多く見られる。菌が発生している部分の落葉は淡象牙色に退色し、周囲に帯線は見られない。
Zhuang and Hyde (2001) や、庄 (2004) の検索表では Lachnum mapirianum (Pat. & Gaill.) Sharma にたどり着く。
ヒナノチャワンタケ属菌の子嚢頂孔はアミロイドだが、Dennis (1954) では "pore reaction uncertain owing to its minute size" とされていて、
図や記載(Dennis は Dasyscypha mapiriana (Pat. & Gaill.) Dennis の学名を使用している)も似ている点が多いが、毛先端の結晶状付着物については書かれていない。
[別図2]
12月19日撮影。落葉に群生している様子。
[参考文献]
Dennis (1954): Some inoperculate Discomycetes of tropical America. (Kew bulletin ; 9(1954), p. 289-348).
Zhuang and Hyde (2001): New species of Lachnum and Perrotia from Hong Kong, China. (Mycologia ; 93(3), p. 606-611).
庄 (2004): 中国真菌志. 第21巻. 晶杯菌科、肉杯菌科、肉盘菌科.
[初掲載日: 2019.04.26] //
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