Lachnum sp. no.19

Lachnum sp. no.19

Lachnum sp. no.19
ヒナノチャワンタケ属菌。3月7日撮影。

[特徴]
朽木上に群生する。子嚢盤は椀型からほぼ平らに開き、径 2 mm. まで。子実層面は白色、縁は僅かに内屈する。外面も白色、比較的短い白色の毛に覆われる。 柄は中心生、普通は椀の直径より短く、外面と同様の毛に覆われる。-- 子嚢は円筒形、かぎ形構造から生じ、先端はやや円錐状になって肥厚し、頂孔はメルツァー試薬で青変する。8胞子を2列に生じる。40-52 × 3.5-4.0 μm. -- 側糸は細い槍状、先端はやや鈍頭、下半は細長く、基部付近に隔壁がある。顕著な内容物は見られない。最大径 3-3.3 μm.、子実層より 6-10 μm. 程度突出する。-- 子嚢胞子は末端側がやや細く伸びる紡錘形で、時に細卵形になる。無色、薄壁、平滑、顕著な内容物は見られない。6.0-7.7 × 1.4-2.0 μm. -- 托髄層は絡み合い菌組織、外皮層は厚さ 30-45 μm.、やや丸みを帯びた矩形状で薄壁、20 × 8 μm. 程度までの細胞からなる。 縁部の組織は柵状に並び、細棍棒状あるいは先端がやや円錐状に細まって槍状、少数の隔壁があり、時に粗面、隔壁部は僅かに括れる。 外面の毛は表面細胞から生じ、直線的、無色、薄壁、2あるいは3個の隔壁があり、先端は丸く、ほとんど膨らまない。 顕著な内容物は見られず、表面は全体が細かい顆粒状粗面、50-70 × 2.8-4.5 μm.

[コメント]
広葉樹と思われる朽木片に発生したもの。主に早春に見られる。 シロヒナノチャワンタケ (Lachnum virgineum) に代表される白色の Lachnum 属菌は多くの類似種があり、区別が難しい。京都附近でも様々な基質に微妙に異なるものが発生する。 材生、比較的短い外毛、かぎ形構造から生じる子嚢などの特徴などは概ね Lachnum impudicum Baral に当てはまるが、不明種扱いにしておく。 Suková (2005) は、L. impudicum はおそらく L. pubescens (Rehm) Svrček のシノニム、としている。

[参考文献]
Baral and Krieglsteiner (1985): Bausteine zu einer Askomyceten-Flora der BR Deutschland: In Süddeutschland gefundene Inoperculate Discomyceten mit taxonomischen, ökologischen und choronologischen Hinweisen. (Beihefte zur Zeitschrift für Mykologie ; 6, p. 1-160).
Suková (2005): A revision of selected material of lignicolous Lachnum species from the Czech Republic with a note on graminicolous material of the Lachnum pygmaeum complex. (Czech mycology ; 57(3-4), p. 183-219).

[初掲載日: 2023.03.30] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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