Lachnum sp. no.20

Lachnum sp. no.20

Lachnum sp. no.20
ヒナノチャワンタケ属菌。4月7日撮影。

[特徴]
子実体はやや群生し、椀型から浅皿状に開いてビョウ形になり、径 1.5 mm. まで。 子実層面は平滑、クリーム色ないし淡象牙色、古い子実体では僅かに赤味を帯びる。縁は小さく立ち上がって内屈する。外面は白色で微毛状、柄は中心生、比較的短く、白色、微毛状。-- 子嚢は円筒形、先端はやや円錐状に尖って肥厚し、頂孔はメルツァー液で青変する。基部にはかぎ形構造がある。8胞子を2列に生じる。51-60 × 4.0-5.5 μm. -- 側糸は太槍形、子実層から 5-10 μm. 程度突出する。無色、薄壁、下半に隔壁があり、内容物は目立たない。最大径 4.5-5.5 μm. -- 子嚢胞子は長楕円形あるいは下半が細長く伸びる流線型、無色、薄壁、平滑、顕著な内容物は認められないか、両端に微小な油球状の内容物がある。9.1-11.5 × 1.7-2.0 μm. -- 托組織髄層は径 2 μm. 程度までの絡み合い菌組織、外皮層は厚さ 30-50 μm.、15 × 9 μm. 程度までの無色薄壁でやや丸みを帯びた矩形状の細胞からなる。 外面の毛は表面の細胞から生じ、無色、やや厚膜、少数の隔壁があり、表面は細かい疣状、45-75 × 2.6-4.8 μm.、先端は丸く、ときにわずかに膨らむ。先端近くには淡黄色の内容物がある。

[コメント]
ススキ (Miscanthus sinensis) の枯稈に発生していたもの。 単子葉類に生じる白色系の Lachnum 属菌として L. controversum (Cooke) Rehm があり、世界的には比較的普通種の様で、日本からも記録されている。 主に Phragmites(ヨシ)属に生じるとされるが、Wu (2004) は台湾からススキを寄主として記録している。 特徴がよく似ていると思うが、L. controversum の側糸には油滴が多く含まれるという。 Ekanayaka et al. (2019) は子嚢はかぎ形構造から生ずるとするが、Čáp (2016) 等、かぎ形構造を持たないとする文献も多い。

[参考文献]
Čáp (2016): Finds of selected ascomycetes in western Moravia (Czech Republic) in 2013. (Acta Musei Moraviae, Scientiae biologicae (Brno) ; 101(2), p. 85-–92).
Ekanayaka et al. (2019): Preliminary classification of Leotiomycetes. (Mycosphere ; 10(1), p. 310-486).
Spooner (1987): Helotiales of Australasia, Geoglossaceae, Orbiliaceae, Sclerotiniaceae, Hyaloscyphaceae. (Bibliotheca mycologica ; Bd. 116).
Wu (2004): Two species of Lachnum new to Taiwan. (Fung. sci. ; 19(3-4), p. 83-88).

[初掲載日: 2023.07.24] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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