Lambertella? sp. no.3
Lambertella? sp. no.3.
チャイロミキンカクキン属菌。7月8日撮影。
[特徴]
子嚢盤は落葉上(上面側)に群生する。ほぼ平らな皿形で子実層面はワイン色を帯びた茶褐色、直径 1.5-5.0 mm.。
縁は全縁で外面は同色、ほとんど平滑かわずかに微毛状。柄はやや太く、表面は微毛状、基部は黒く、僅かに鱗片状。--
子嚢は円筒形、かぎ形構造から生じ、先端は肥厚して頂孔はメルツァー液で青変する。8胞子を初め一列に生じるが後に不規則な二列になって先端付近に固まる。80-89 × 6.6-8.3 μm. --
側糸は糸状、上下同幅で下半で分岐し、少なくとも上半には隔壁は見られない。無色で一様な内容物がある。直径 1.8-2.8 μm.。
他にやや太め(先端で 2.9-3.5 μm.)で分岐が無く、茶褐色の内容物のある側糸がまばらにある。基部に隔壁があり、先端は丸い。--
子嚢胞子は楕円形ないし卵形。初め2油球を含むが後には不明瞭になりほとんど平滑。成熟した胞子はわずかに黄褐色を帯びる。8.6-9.2 × 3.4-3.8 μm. --
托組織髄層は絡み合い菌組織、直径 10 μm. までの淡色のソーセージ形細胞よりなり、まばらに褐色結晶状の物質が付着する。
髄層と外皮層の境界部にはほぼ平行に走る薄い菌糸層がある。
外被層は厚さ 80 μm. 程度、やや丸みを帯びた多角形の細胞よりなり、無色あるいは淡色、径 18-30 μm.、やや厚膜。
表面には茶褐色の内容物がある菌糸がある。薄壁で隔壁、まばらに褐色結晶状の物質が付着し粗面に見える部分があり、先端はわずかに立ち上がる。
先端細胞はやや紡錘形にふくらんで 30-50 × 8-12 μm. になり、縁部ではやや房状になる。
[コメント]
公園に植栽されたサザンカ (Camellia sasanqua Thunb.) の落葉に群生していたもの。落葉にはかなり明瞭な帯線に囲まれた暗色の領域が雲形に拡がる。
柄の基部付近の落葉組織はやや黒化した部分があり子座を形成しているように見えるのでキンカクキン類だろうと思う。
成熟胞子が着色するので Lambertella 類か。Dumont のモノグラフに無色と着色した側糸を持つ種として挙げられている
Lambertella phaeoparaphysata Dumont は多くの点でよく似ている。
後に Dumont 自身によって L. spadiceo-atra の異名とされたが、L. spadiceo-atra は Gunnera 属(アリノトウグサ科)の植物上に発生したものである。
[別図2]
7月8日撮影。
[参考文献]
Dumont (1971): Sclerotiniaceae II. Lambertella. (Memoirs of the New York Botanical Garden ; 22(1), p. 1-178)
Dumont (1981): Leotiaceae II. A preliminary survey of the neotropical species referred to Helotium and Hymenoscyphus. (Mycotaxon ; 12(2). p. 313-371)
[初掲載日: 2007.11.05, 最終更新日: 2018.08.01]