Lamprospora tuberculata

Lamprospora tuberculata

Lamprospora tuberculata Seaver
ランプロスポラ トゥベルクラタ。7月15日撮影。

[特徴]
コケ(蘚類)群落中の地上に群生する。子実体は始め球形、地表にやや半埋生状に生じ、後に肉厚の皿状から子実層は凸型になり、直径 1-2 mm. 程度。 子実層面はオレンジ色、平滑。縁は薄い膜状に立ち上がって反り返り、淡色、細かな鋸歯があるが、古い子実体では不明瞭になる。 外面もほぼ同色、ルーペ下ではややざらついて見える。柄は無く、広く基質に固着する。肉質は軟らかい。-- 子嚢は円筒形、薄壁、有蓋、基部は比較的大きな二叉状になる。メルツァー試薬に呈色しない。8胞子を一列に生じる。188-215 × 15.5-20 μm. -- 側糸は糸状、隔壁があり、ほぼ上下同幅、少なくとも上半では分岐せず、先端付近で緩やかにカーブするものがある。全体に黄橙色の顆粒状の内容物を含むが、上半は液胞が目立つ。径 3.5-4.5 μm. -- 子嚢胞子は球形、無色、径 8 μm. 程度の油球が偏在し、表面にはコットンブルーに染まる疣がある。疣を除いて径 12-14.5 μm.。 表面の疣は径 2-3.5 μm.、高さ 2 μm. までになる半球形のものが散在し、片面直径上に5個程度。その隙間には同形の径 0.4-1.2 μm. 程度の小型の疣が散らばる。-- 托組織髄層は径 20 μm. 程度までの丸みを帯びたほぼ無色の細胞からなり、外皮層との境界はやや不明瞭。外皮層の細胞はややオレンジ色を帯び、矩形状、径 5.5-7.5 μm. 程度。 表面には径 5-8 μm. 程度の菌糸があり、互いに絡み合う。縁部の細胞は径 5.5-8 μm. 程度、長さは 50 μm. 程度までになり、比較的厚膜、先端は丸い。 子実層より 100-150 μm. 程度立ち上がる。

[コメント]
まばらにコケの生えたやや粘土質の地上に発生していたもの。表面に半球状の大小の疣がある球形の子嚢胞子の特徴などから、L. tuberculata と考えていいと思う。 コケの仮根を何本かほぐして検鏡してみたが、寄生状態を確認できなかった。 海外では北米とヨーロッパで知られている。寄主として記録されている Pleuridium(キンチャクゴケ)属のコケは日本でも若干種が知られているが、 子実体周辺のコケは素人目には特徴に乏しく、蒴を付けたものを見つけることもできなかったので同定できていない。

[参考文献]
Benkert (1987): Beiträge zur Taxonomie der Gattung Lamprospora (Pezizales). (Zeitschrift für Mykologie ; Bd. 53(2), p. 195-271).
Egertová et al. (2015): Lamprospora tuberculata, Octospora ithacaensis, O. orthotrichi and O. affinis – four bryoparasitic ascomycetes new to the Czech Republic. (Czech mycology ; 67(2), p. 119-133).
Rifai (1968): The Australasian Pezizales in the herbarium of the Royal Botanic Gardens Kew. (Verhandlungen der Koninklijke Nederlandse Akademie van Wetenschappen. Afd. Natuurkunde ; 57(3). 295 p.).
Seaver (1928): The North-American cup-fungi (operculates). 1978 reprint.
Vega et al. (2016): Lamprospora verrucispora sp. nov. (Pezizales). (Ascomycete.org ; 8(4), p. 163-171).

[初掲載日: 2019.08.06] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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