Lophodermium sp. no.3
Lophodermium sp. no.3.
ロフォデルミウム属菌。5月16日撮影。
[特徴]
子嚢盤はアカマツの落葉上、部分的に表皮細胞下に生じる。
殻皮は炭質黒色、楕円形ないし紡錘形、長径 0.7-1 mm.、成熟すると中央がスリット状に開口し、灰色の子実層を表す。
針葉上に帯線は見られない。--
子嚢は円筒形、薄壁、先端は肥厚せず、メルツァー試薬で呈色しない。8胞子を束状に生じる。114-129 × 9.1-10.8 μm. --
側糸は糸状、隔壁があり、無色、径 2.0 μm. 程度、子嚢よりやや長い。先端は膨らんで棍棒状ないしコケシ状、径 5 μm. まで。 --
子嚢胞子は糸状、先端は丸く、末端はやや細くなる。細かい油球をまばらに含む。
射出された子嚢胞子は緩やかに曲がりくねり、全体がゼラチン被膜に包まれる。 77-80 × 1.7-2.0 μm. --
殻皮の裂開部には無色の舌状細胞層がある。薄壁で隔壁のある先端の丸い細胞が柵状に並び、最大の厚さは 25 μm. 程度。
子嚢盤底部中央には寄主の表皮細胞が 4-6 個並ぶ。--
子嚢殻付近に微小な分生子殻様の黒点が観察できるが、分生子を確認できなかった。
[コメント]
マツ類の落葉上には初夏頃、複数種の Lophodermium 属の子嚢盤が観察できる。
これはその中でも比較的普通に見られる種類だが、帯線が見られないので L. pinastri ではないだろう。
作山 (1993) に挙げられているものの中では L. staleyi Minter が近いが、
Minter (1981) に拠ると L. staleyi の側糸は "tips straight and unswollen" とあるのでちょっと違うようだ。
[参考文献]
作山 (1993): 日本産マツ葉ふるい病の病原菌の形態. (Transactions of the Mycological Society of Japan ; 34, p. 433-447).
Minter (1981): Lophodermium on pines. (Mycological papers ; 147, p. 1-54 + plates).
[初掲載日: 2015.06.30]