Lophodermium sp. no.4
Lophodermium sp. no.4.
ロフォデルミウム属菌。6月18日撮影。
[特徴]
マツの落葉に発生する。主に針葉の凸面側に発生する。子実体周辺の落葉は僅かに退色するが、帯線はほとんど認められない(時に褐色の不明瞭な帯線がある)。
子嚢盤殻皮は表皮細胞下に生じ、黒色、楕円形ないし広紡錘形、長径 0.7-1.0 mm. 程度。
成熟すると中央がスリット状に割れて開口し、子実層を現わす。子実層面は白色粉状に見える。--
子嚢は円筒形、薄壁、上部は円錐状で厚膜、メルツァー試薬で呈色しない。8胞子を束状に生じる。128-152 × 9.2-11.5 μm. --
側糸は糸状、下半に隔壁があり、無色(あるいは僅かに黄色っぽく見える)、径 1.7 μm. 程度、先端は次第に膨らんで 2.8 μm. までになり丸く曲がるものが多い。--
子嚢胞子は直線的な糸状、単細胞、無色。先端は丸く、末端はやや細くなり、全体に細かい油球をまばらに含む。108-126 × 2.0-2.2 μm.、全体がゼラチン状被膜に包まれる。--
子実層表面は淡黄色の不定形小粒状の物質で覆われ、周辺部ではかなり厚い。殻皮の裂開部に舌状細胞層は認められず、子嚢盤底部に寄主の表皮細胞は無い。
[コメント]
アカマツ (Pinus densiflora) の落葉に発生していた物。
帯線が不明瞭、舌状細胞を欠く、子嚢盤底部に寄主の表皮細胞が無い、という特徴を併せ持つマツ生の Lophodermium 属菌の中に該当しそうなものを見つけられなかった。
[参考文献]
Minter (1981): Lophodermium on pines. (Mycological papers ; 147, p. 1-54 + plates).
林ほか (1995): 中国北部地区松生斑痣盘菌分类研究. (真菌学报 ; 14(2), p. 92-100).
[初掲載日: 2016.08.05]