Meliola trachelospermi
Meliola trachelospermi Yates.
テイカカズラすす病菌。7月6日撮影。
[特徴]
葉の裏面に菌叢を生じる。
菌叢は肉眼では黒色、やや薄く拡がり毛羽立って見え、不正円形、直径数ミリ程度だが融合してさらに大きくなり葉の裏面ほぼ全体に拡がる場合もある。
菌糸は分岐しながら放射状に伸び、やや厚膜、隔壁があり黒褐色。直径 3.0-4.6 μm.、菌足と剛毛を生じる。
菌足はほぼ互生し菌糸と同色、2細胞。先端細胞は不対称楕円形ないし卵形、13-16 × 8-10 μm.。
剛毛は子嚢殻付近の菌糸から立ち上がり、直線的針状、黒褐色、厚膜、分岐せず先端は尖る。基部で直径 5.2-8.6 μm.、長さは 450 μm. までになる。--
子嚢殻は表在、菌叢の中央付近にまばらに形成される。ほぼ球形、黒色、直径 128-197 μm.、表面は径 5-9 μm. の多角形細胞よりなる。--
子嚢は観察できなかったが一子嚢殻中に多数形成されるようである。--
子嚢胞子は両端の丸い円筒形(長俵形)、横にほぼ等間隔に4隔壁があり5細胞、やや厚膜、平滑。
隔壁部はくびれ、各細胞は殆んど同幅だが中央の細胞がやや幅広い。
初めは淡色で各細胞に油球が目立つが後に暗褐色になり内容物は不明瞭になる。31.4-33.8 × 11.2-12.9 μm.
[コメント]
テイカカズラ (Trachelospermum asiaticum) の葉に発生する。黒い菌叢はほぼ年中観察できるが、子嚢胞子が成熟するのは晩春から初夏にかけてのようだ。
子嚢胞子の大きさは Yates の原記載 (35-40 × 16-20 μm.) や、澤田の記載 (35-41 × 11-15 μm.) に比べてやや小さい。
植物病原菌類図説にテイカカズラすす病として学名が挙げられているのだが日本植物病名データベースではヒットせず、日本産を報じた論文をまだ確認できていない。
[参考文献]
小林ほか編 (1992): 植物病原菌類図説.
Sawada (1959): Descriptive catalogue of Taiwan (Formosan) fungi. part 11.
Yates (1918): Some recently collected Philippine fungi. II. (The Philippine journal of science. Botany ; v. 13 (6). p. 361-384).
[初掲載日: 2011.07.12]