Morchella esculenta
Morchella esculenta (L.: Fr.) Pers.
アミガサタケ。4月7日撮影。
[特徴]
子実体は頭部と柄部からなる。頭部と柄部を通じて中空。
頭部は卵形や楕円形等、最大径 3-5 cm.、高さ 4-7 cm. 程度になる。肋脈は縦横に発達し網目状になるが、縦の脈がやや目立つ。
稜部は初め白色、後やや灰色を帯び、ルーペ下では微粉状、こすると徐々に汚橙色から赤褐色になる。
子実層は窪みの部分に発達し、不規則な凹凸がありベージュ色、灰褐色、黄褐色等変異が多く、同一子実体でも成長に従い色調はかなり変化し、
おおよそ子実層部は淡色に、稜部は濃色になる。
下縁は柄に直生する。
柄は円筒形でクリーム色、表面はほとんど平滑あるいは微粉状、古い子実体では所々に淡橙褐色のシミを生じる。
直径 1.5-2 cm. × 高さ 3-8 cm. 程度。基部はやや膨らんで 3 cm. を超える事もある。--
子嚢は円筒形、薄壁、8胞子を一列に生じ、メルツァー液で呈色しない。下半はやや屈曲する場合が多い。270-350 × 18-24 μm. --
側糸は径 18 μm. までで無色あるいは淡褐色。下半は隔壁が多く先端は棍棒状、槍状等に膨らむものが多い。--
子嚢胞子は楕円形で無色薄壁平滑、細かな内容物があるが油球は見られない。
子嚢中では両極に小さな油球状の物質が数個程度付着するが射出された胞子では脱落している場合が多い。
22-23.5 × 12-14.4 μm.、胞子紋は淡黄土色。--
稜部の細胞は側糸と同様だが無色。
[コメント]
春、ソメイヨシノの開花とほぼ同じ頃、庭や道端などに散生あるいはやや群生する。
特定の樹種には関係が無さそうで、付近に樹木の無い草地にも発生する。
市街地の庭や畦道等から山林まで「なんとなく肥えた感じ」の所に生えるが、京都付近ではトガリアミガサタケよりは少ない。
肉眼的特徴の違い等によって多くの変種に分けられていたアミガサタケは、
いくつかの独立種に分割されるようだが、ここでは広義のアミガサタケとしてまとめて従来の学名をあてておく。
顕微鏡的にはほとんど差が無く、子実体の色合いや大きさ、形によっていくつかのグループに区別できそうだが、
私のフィールドでは「頭部は楕円形ないし卵形でベージュ色から淡黄褐色、肋脈は縦方向にやや発達する」ものが多い。
西洋では人気のある食菌で私も試食した経験があるが、生食すると中毒すると言われる。
[別図2]
庭のイチョウ樹下に発生したもの。この色調の子実体を一番良く見かける。4月4日撮影。
[参考文献]
今関,本郷 (1989): 原色日本新菌類図鑑 (II).
[初掲載日: 2005.04.18, 最終更新日: 2014.04.14]