Orbilia sp. no.17

Orbilia sp. no.17

Orbilia sp. no.17
オルビリア属菌。9月12日撮影。

[特徴]
子嚢盤は散生あるいはやや群生する。薄い皿形ないし平盤状、半透明乳白色でわずかにクリーム色あるいはピンク色を帯び、径 1 mm. 程度まで。 縁は全縁で時にやや波打ち、外面は平滑、柄は短いかあるいはほとんど無く、やや広く基質に固着する。-- 子嚢は円筒形、先端は肥厚せず、平らになる。下半は細くなってやや屈曲し、末端はH字またはY字形に分岐する。 8胞子をほぼ2列に生じ、上半4個と下半4個は上下が反転するようである。22.5-28.5 × 2.6-2.8 μm. -- 側糸は糸状、径 1 μm. 程度、隔壁があり、基部近くで分岐し、無色、先端は球状に膨らんで径 2.5-3.2 μm. になる。-- 子嚢胞子は両端の丸い短円柱状ないし樽形、無色、薄壁、平滑、一端に小さな明るい内容物がある。1.8-2.4 × 0.6-0.8 μm. -- 托組織髄層はほぼ球形ないし楕円形、径 30 μm. 程度までの薄壁の細胞からなり、外皮層との境界はやや不明瞭。 外皮層はやや小型で丸みを帯びた多角形細胞からなり、最外層の細胞は矩形状。 外面基部付近の表面細胞からは、無色薄壁、径 2-2.5 μm. 程度の絡み合った菌糸が基質に向かって伸びる。-- 子実体の周辺でアナモルフと思われる分生子が少数観察できたが、分生子柄は確認できなかった。 分生子は長紡錘形で先端は丸く、末端は小さな截断形、無色、薄壁、平滑、ほぼ等間隔で6隔壁があり7細胞、隔壁部はくびれない。44-48 × 6.5-7.2 μm.

[コメント]
ブナ林内の小さな流水脇の落枝片に発生していたもの。Orbilia dryadum (Velen.) Baral & E. Weber に近いと思うが、子嚢胞子がかなり小さい。

[参考文献]
Baral et al. (2020): Monograph of Orbiliomycetes (Ascomycota) based on vital taxonomy. pt. I + II. National Museum of Natural History Luxembourg, 1752 pp.
Quijada et al. (2016): A revision of the genus Orbilia in the Calary Islands. (Phytotaxa ; 284(4), p. 231-262).

[初掲載日: 2025.02.06] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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