Orbilia sp. no.8
Orbilia sp. no.8.
オルビリア属菌。4月16日撮影。
[特徴]
草本の枯茎に散生する。子嚢盤は平板状あるいはレンズ形、子実層面はやや凸型、径 1.5 mm. 程度まで、半透明淡桃色ないしややオレンジ色あるいはバラ色がかる。縁は全縁で薄く、柄は短い。--
子嚢は細い円筒形、先端は平らになり、下半は細長く伸びて緩やかに曲がりくねり、末端は小さく叉状になるものが多い。メルツァー試薬に呈色しない。
8胞子をほぼ2列に生じ、詳細を確認できなかったが、4個づつ上下が逆転して配置しているように見える。48-52 × 2.5-3.2 μm. --
側糸は糸状、少なくとも上半には隔壁も分岐も認められない。径 0.5 μm. 程度。先端は楕円形に膨らんで径 3.4-4.0 μm. になる。
頂部には無色で不定形のヤニ状物が小さな帽状に付着する。--
子嚢胞子は紡錘形、無色、薄壁、平滑、一方の先端側には小さな球状の明るい内容物がある。他方側はやや細く伸びて尾状になり、わずかに折れ曲がる。7.1-8.0 × 0.8-1.4 μm. --
托組織の詳細を確認できなかったが、外皮層は無色で丸みを帯びた多角形の細胞からなる。縁部の細胞はやや棍棒形、10-15 × 3-5 μm.
[コメント]
湿った草本性の枯茎に生じていた物。枯茎は太く中空で節がある。おそらくイタドリ (Fallopia japonica) だろう。草本生のオルビリア類は少ない。
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サイト掲載後、オルビリア類のモノグラフが公刊された。日本産とされた種はごく僅かで、多くの未知種が残されているはず。
モノグラフに掲載された種の中では Orbilia caulicola Baral & G. Marson が近いと思う。[2024.07.05 追記]
[別図2]
4月22日撮影。イタドリの枯茎に発生していたもの。
[参考文献]
Baral et al. (2020): Monograph of Orbiliomycetes (Ascomycota) based on vital taxonomy. pt. I + II. National Museum of Natural History Luxembourg, 1752 pp.
[初掲載日: 2017.07.21, 最終更新日: 2024.07.05] //
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