? sp. no.11
? sp. no.11
よくわからない核菌類。6月26日撮影。
[特徴]
生葉の裏面側の組織内に子座を形成する。
子座はクチクラ下に生じ、不整円形ないし楕円形で盛り上がり、径 1.2 mm. 程度まで、表面は黒色、平滑でツヤがあり、内部はやや淡褐色で厚膜の細胞からなる。
周辺は僅かに黒っぽく変色し、葉表側は変色しない。子座中に1個あるいは2個の子嚢殻を生じる。--
子嚢殻は扁球形、径 250-300 μm.、高さ 200 μm. 程度まで、殻壁は径 15 μm. 程度の淡褐色の多角形細胞からなる。頂部に径 40 μm. 程度の孔口があるが、ほとんど突出せず目立たない。--
子嚢は棍棒形、やや厚膜、先端は平らになり、特別な構造は見られず、メルツァー試薬にも呈色しない。8胞子をほぼ2列に生じる。110-130 × 17-22.8 μm. --
側糸は鞭状、薄壁、下半には隔壁が多い。基部付近で径 3-5 μm.、上半は次第に細まって曲がりくねる。--
子嚢胞子は楕円形あるいは一端がやや尖って卵形、無色、薄壁、平滑、内容は細かな泡状、全体に比較的厚いゼラチン様の被膜がある。18.5-21.8 × 10-14.5 μm.
[コメント]
ヒサカキ (Eurya japonica) の葉に生じていたもの。
寄主のヒサカキを手掛かりにしていくつかの文献を調べてみた。ヒサカキの生葉裏面に生じる Plectosphaera euryae Hino & Katumoto は特徴が異なる。
日本産樹木寄生菌目録 (2007) や、日本産菌類集覧 (2010) には該当しそうな種がないが、Phyllachora 属、あるいはその近縁属の菌だと思う。
Phyllachora 属菌はイネ科に発生するものが多く、海外ではヒサカキ属から記録された種 (P. cymbispora、P. euryae、P. transiens) もあるが、子嚢胞子の大きさが異なる。
Phyllachora 属には糸状の分生子(不動精子)を生じるものが知られていて、
プレパラート中にも、短い糸状あるいは細桿菌状、無色、薄壁、時に弓型あるいは "へ"の字に曲がる、8-10 × 1 μm. 程度の不動精子と思われるものが多数浮遊していた。
柄子殻などを確認できなかったが、この菌のものだと思われる。近縁属等のついても調べきることができていないので、不明菌としておく。
[参考文献]
Katumoto (1965): Notes on fungi from western Japan (8). (Journal of Japanese botany ; 40(7), p. 193-198).
Ramakrishnan and Ramakrishnan (1947): Additions to fungi of Madras II. (Proceedings of the Indian Academy of Sciences. Section B ; 25(2), p. 178-187).
Silva-Hanlin and Hanlin (1998): The order Phyllachorales: taxonomic review. (Mycoscience ; 39, p. 97-104).
[初掲載日: 2024.09.26] //
[サイトのトップへ] //
[掲載種一覧表へ]
All rights reserved. Copyrighted by Masanori Kutsuna, 2024.