Patellariopsis atrovinosa

Patellariopsis atrovinosa

Patellariopsis atrovinosa (A. Bloxam ex Currey) Dennis
パテラリオプシス アトロヴィノサ。4月15日撮影。

[特徴]
樹皮上に群生する。子嚢盤は初めやや椀型、後に肉厚の平板状ないしクッション状、径 1 mm. 程度まで。 子実層面は暗灰色、平滑、縁は全縁で小さく立ち上がり、僅かに赤みを帯びる。外面はほとんど平滑、暗紫褐色。柄はほとんど無く、やや広く基質に固着する。肉質はやや硬い。-- 子嚢は円筒形ないし細棍棒形、薄壁、先端は肥厚して頂孔はメルツァー試薬で青変し、基部にはかぎ形構造がある。8胞子をほぼ2列に生じる。100-130 × 9-11.5 μm. -- 側糸は糸状、隔壁と分岐があり、径 1.2-2 μm.、上半は緩やかに屈曲し、先端はやや急に膨らんで棍棒状ないし瘤状、径 3.5-5.2 μm. までになる。無色で一様な内容物がある。-- 子嚢胞子は両端の丸い紡錘形、普通はやや弓形に曲がり、無色、薄壁、平滑、内容物は泡状、後に等間隔に3隔壁を生じ4細胞になる。22.8-31.5 × 4.2-5.4 μm. -- 子実下層は暗色の菌糸が密に絡みあう。托組織髄層は厚膜で暗緑褐色、径 6 μm. 程度までの短い細胞からなる密な角形菌組織状、 外皮層はやや薄壁、淡ワイン色の丸みを帯びた径 4-8 μm. 程度の縦長の細胞が放射状あるいはやや柵状に並ぶ。 最外層から縁部の細胞はほとんど無色、薄壁で棍棒状になる。

[コメント]
カシ林内の古い倒木に発生していたもの。Karunarathna et al. (2020) は分生子座を形成する不完全世代を報告しているが、子嚢盤周辺で類似の不完全菌を観察できなかった。

[参考文献]
Dennis (1974): New or interesting British microfungi, II. (Kew bulletin ; 29(1), p. 157-179).
Karunarathna et al. (2020): Patellariopsidaceae fam. nov. with sexual-asexual connection and a new host record for Cheirospora botryospora (Vibrisseaceae, Ascomycota). (Frontiers in microbiology ; 11:906).
Nauta and Spooner (2000): British Dermateaceae: 4B. Dermateoideae genera G-Z. (Mycologist ; 14(2). p. 65-74).

[初掲載日: 2024.05.10] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
All rights reserved. Copyrighted by Masanori Kutsuna, 2024.