Peziza guizhouensis
Peziza guizhouensis Liu.
拳状のチャワンタケ類。6月19日撮影。
[特徴]
子実体は地上に表在あるいは半ば埋もれて発生する。
小型のものは縁が著しく内屈した椀状だが普通はさらに縁が巻き込んで握り拳状から塊状になる。
外面は糠状あるいはふけ状で淡灰色、時にやや褐色あるいはベージュ色を帯びる。
直径 2-4 cm. 程度、大きなものは直径 8 cm. 程にもなる。普通は柄は無く下面中央で固着するが、時に根状の短い柄がみられる。
上部中央付近に開口部があるが小さく不定形、数個の開口部を持つものからほとんど無いものまである。内部は空洞でやや迷路状になる。
肉は厚さ 1.0-1.5 mm. 程度、乳液を分泌せず、変色性も無い。子実層面は灰色で平滑。生臭いような独特の臭いがある。--
子嚢は円筒形、8胞子をほぼ一列に生じる。基部はやや急に細くなり二叉状になる。先端付近はメルツァー液でやや広く薄く青変する。220-300 × 15.0-28.0 μm. --
側糸は糸状、隔壁があり無色。径 4-8 μm.。先端は子嚢よりも長く伸び互いに癒着して子実上層を形成し、棍棒状に膨らんで 25 μm. までになる。--
子嚢胞子は広楕円形、一個の油球を含み成熟すると淡黄褐色になる。表面には高さ 2.6 μm. までになる網目状突起がある。15.0-17.8 × 12.2-14.6 μm.(突起を含まず)--
托組織髄層は膨らんだ細胞が目立つ無色薄壁の絡み合い菌組織で外被層との境界は不明瞭、
外被層は直径 30 μm. 程度のやや縦長の丸みを帯びた多角形の細胞からなり、最外層は 20 μm. 程度までの球形細胞が房状になって盛り上がる。
[コメント]
春から秋にかけて、林内のやや粘土質の地上に単生するが、数個が固まって発生している事もある。
斜面の裸地に下半が埋もれたように発生しているものが多いが地面が硬い場所では完全に表在している。
ずっと Peziza 属の不明菌としてきたが Peziza guizhouensis と考えてよさそうだ。
中国から記載された種で針葉樹林の地上に発生するとあるが、スギ植林地に隣接するカシ林やモミが散在する広葉樹林などで採集している。
[別図2]
10月7日撮影。
[参考文献]
Liu (1998): A new species and a new record of Peziza from China. (Mycosystema ; 17(3), p. 218-222).
[初掲載: 2004.06.27; 最終更新: 2008.09.09]