Peziza repanda
Peziza repanda Pers.
チャイロワンタケ。2月1日撮影。
[特徴]
子嚢盤は単生あるいは群生する。直径 3-7 cm.、深い椀形からやや平たく開く。ほとんど無柄か、短い柄が地中に入る。
子実層面は平滑でつやは無く、蜜色ないしらくだ色。縁はやや鋸歯状になり、小さく反り返る事もある。
外面は白っぽく厚い粉状ないしフケ状、周縁部は不規則にひび割れて小さなかさぶた状になる。肉質は比較的脆く変色性は無い。--
子嚢は円筒形、8胞子を一列に生じる。先端には蓋があり、周囲はメルツァー液で青変する。310-348 × 14.0-17.2 μm. --
側糸は糸状、隔壁がある。径 4.0 μm. 程度、先端はやや膨らんで 6.0 μm. までになる。内容物は無色で泡状。 --
子嚢胞子は楕円形、無色薄壁で表面は平滑にみえる。目だった内容物は見られない。16.4-17.0 × 8.5-9.2 μm. --
托組織は髄層は大型の球形ないしやや多角形の細胞が目立ち絡み合い菌組織の層をへて円形菌組織の外被層になる。
外被層はややコンパクトな内半とやや小型の各細胞がゆるく繋がる外半に分かれるが境界は不明瞭。
最外層には短い曲がりくねった細胞が密に立ち上がる。
[コメント]
肥沃な地上や腐植土等に発生し、公園や人家の庭などに生える事も多い。
比較的普通種だが、日本の図鑑で掲載しているものは少ない上に近似種があり (P. cerea 等)
区別がよくわからないので同定には余り自信が無いが特徴は P. repanda に良く一致すると思う。
組織中層に絡み合い菌組織があって断面が層構造をなすのが低倍率のルーペでもわかるのが特徴だが、
長尾,吹春 (2002) に図示された断面図ではその様子が不明瞭でよくわからない。
上掲の写真は室内のキャットグラス(エンバク)を植えた植木鉢に発生したもの。
[別図2]
こんな風に植木鉢に一個だけ生えた。職場で席が隣の K さんが家で生えたのを見つけて持ってきてくれました。
[参考文献]
Dennis (1981): British Ascomycetes. Rev. ed.
長尾,吹春 (2002): 千葉県菌類誌 (III). 子嚢菌類不整子嚢菌綱および盤菌綱. (千葉中央博自然誌研究報告特別号 ; 5, p. 111-132)
Rifai (1968): The Australasian Pezizales in the herbarium of the Royal Botanic Gardens Kew.
[初掲載日: 2006.02.06]