Peziza sp. no.12
Peziza sp. no. 12 (Peziza praetervisa?)
焚火跡に生じるチャワンタケ。5月25日撮影。
[特徴]
子嚢盤は浅い椀形、ときにやや反転して反り返る。直径 1-3 cm. 子実層面はやや紫色を帯びた茶褐色。
縁は全縁、外面はスリガラス状で白っぽく、平滑。柄はほとんど無い。肉は脆く乳液は無い。
子嚢は円筒形、8胞子を一列に生じる。先端は I+。180-230 × 9-10 μm.
側糸は糸状、隔壁がある。径 2.5-3.0 μm. 先端は次第に膨らんで 6.0 μm. までになる。
先端から 20-30 μm. あたりで折れ曲がるものが多く、淡茶褐色の内容物を含む。
子嚢胞子は楕円形、無色薄壁で 2油球を含む。11.5-12.9 × 5.8-7.1 μm. 表面は低く細かな疣状で短径片面に 10 個ほどある。
托組織は球形細胞(直径 70 μm. まで)が目立つがほぼ中央付近に厚さ 100 μm. 程度の不明瞭な絡み合い菌組織の層がある。
外被層は比較的小型の多角形の細胞からなる。
焚火跡の炭上に発生していたもの。幼菌はかなり鮮やかな紫色をしているが成熟すると色褪せるものが多い。
焼け跡に生えるチャワンタケで紫色系のものは何種かあって区別が難しい。
多くの図鑑に掲載されているのは Peziza praetervisa, Peziza violacea あたりだが、
P. pseudoviolacea, P. subviolacea, P. tenacella 等々がある。
違いが微妙な上に文献によって書かれている特徴が異なっていたりしてよくわからない。
Fungi of Switzerland. vol. 1. に図示されている Peziza praetervisa が一番良く一致すると思うので
P. praetervisa あるいはその近縁種として整理してさらに資料を集めたい。
[参考文献]
Breitenbach and Kränzlin (1984): Fungi of Switzerland. vol. 1.