Peziza sp. no.16
Peziza sp. no.16.
チャワンタケ属菌。6月18日撮影。
[特徴]
子実体は椀状から浅い皿状になる。直径 1.5-3.0 cm.、子実層面はやや紫色を帯びた褐色で平滑あるいは中央付近は皺状になる。
若い子実体の子実層はつやがある。縁は全縁。
外面はほぼ同色、ほとんど平滑。肉質は脆い。切断すると子実下層のあたりから少量の透明の汁を出すが変色性は無い。
柄は無く、下面中央付近で地面に固着する。--
子嚢は円筒形、8胞子を一列に生じる。先端は有蓋でメルツァー液で青変する。275-315 × 15.6-17.8 μm. --
側糸は糸状、径 4.0-4.5 μm.、下半には隔壁がある。先端はやや膨らんで 6.5 μm. までになり、淡黄褐色の内容物がある。
頂端付近には黄褐色のヤニ状物が附着していることがある。(特に未熟な子実体) --
子嚢胞子は楕円形、初めは無色だが成熟すると淡黄褐色になる。やや中心から外れて大きな油球が一つあるが油球は二つのこともある。16.5-17.2 × 9.1-11.5 μm.。
表面には比較的高い刺状の疣がある。短径に7-8個ほどで、高さは 1.0-1.5 μm. 程度で底辺より大きく、円錐形に見える。--
托組織は明瞭な層構造は見られず、髄層では直径 60 μm. までの無色の球形細胞が目立つ。外被層はやや褐色小型の細胞からなり多角形状。
子実下層付近には径 15 μm. 程度の菌糸よりなる薄い平行菌糸層があり、やや色づいて見える。
[コメント]
広葉樹内のコケの生えた地上に群生していたもの。6月ごろの他に秋にも発生する。幾つかの検索表を当たってみたのだが判然としない。
子嚢胞子の油球が一個で透明の液を出し、側糸先端にヤニ状物が付くなどの点は Peziza badiofusca に近いが P. badiofusca の胞子の疣は
円錐状にはならないようである。
[初掲載: 2007.09.21]