Peziza sp. no.9
Peziza sp. no.9
地上の木屑片に生じたチャワンタケ。6月7日撮影。
[特徴]
子嚢盤は浅い皿形、径 1.5-2.5 cm. 子実層面は平滑で明るい茶褐色。ほぼ全縁。
外面はやや淡色で粉状、乾くと白っぽくなる。ほとんど無柄。肉質は脆い。--
子嚢は円筒形で基部は2叉状、8胞子を一列に生じる。先端は I+。310-380 × 16.4-18.6 μm. --
側糸は糸状、隔壁がある。径 3.5-4.2 μm. 先端は急に膨らんで球状になり 6.0-14 μm.、黄色い油球を数個含む。 --
子嚢胞子は楕円形、薄壁平滑、やや黄色味を帯びる。内容はほとんど一様。22.8-25.6 × 10.2-11.5 μm.、
胞子の側面には球形の粘質付属物がある。水中では径 20 μm. 程度に広がり、cotton-blue で細点状に染まる。--
托組織は明瞭な層状にはならないが内半のほぼ無色の絡み合い菌組織から次第に淡黄褐色の円形-矩形菌組織になり、
最外層には絡み合った無色薄壁のミミズ状細胞(径 4.5-6.0 μm.)の層がある。
[コメント]
ヒノキ伐採跡の木屑の混じった地上にまばらに発生していたもの。すぐ脇に小さな流水がありかなり湿っていた。
比較的大型の胞子を持つチャワンタケであるが平滑な胞子を持った Peziza 属菌は近似種が多い。
[別図2]
6月3日撮影。
肉眼的特徴、顕微鏡的特徴とも良く一致するので、おそらく同種だと思われるが、主な特徴を書いておく。
子嚢盤は比較的深い椀形、直径 1-2.5 cm. -- 子嚢は 325-348 × 15.6-17.2 μm. -- 胞子は 22.6-27.0 × 9.7-11.5 μm. 側面に付く粘質付属物は子嚢中では目立つが、射出された胞子では認められないものもある。
[初掲載: 2005.06.27; 最終更新: 2007.04.04]