Phacidium? sp. no.2

Phacidium sp. no.2

Phacidium? sp. no.2
ファキディウム属?菌。5月2日撮影。

[特徴]
落葉表面に発生する。子嚢盤は寄主の表皮細胞下に形成され、薄い円盤形、径 0.4-0.7 mm.、落葉には帯線や漂白箇所は見られない。 成熟すると上面が放射状に裂開して表皮細胞と共に数片の三角形の裂片になって反り返り、子実層が現れる。 子実層面は平滑、肉眼では黒褐色に見えるが、子実層自体は殆んど無色。-- 子嚢は棍棒形で下半は細く伸びる。薄壁、先端は丸みを帯びた円錐状で頂部は肥厚して僅かに乳頭状に突出し、頂孔はメルツァー試薬で青変する。8胞子を初め一列に生じるが、後に上半は不規則な2列に並ぶ。75-80 × 7.4-8.5 μm. -- 側糸は糸状、無色、隔壁は不明瞭、上半で分岐し、先端は子嚢よりやや長く、殆んど上下同幅で 1-2 μm.、子実層上面には淡褐色のヤニ状の物質があり全体が合着する。-- 子嚢胞子は長卵形ないし紡錘形で時に左右不対称、無色、薄壁、平滑、顕著な内容物や被膜は見られない。10-12 × 3.4-3.7 μm. -- 子実下層は径 2.5-4 μm. 程度の淡色の多角形細胞の層からなり、反り返った寄主の表皮細胞の内側には 7-8 × 4-4.5 μm. のやや丸みを帯びた矩形の無色薄壁の細胞が柵状に並び、厚さ 30-50 μm. になる。

[コメント]
照葉樹林の落葉に生じていたもの。おそらくナナミノキ (Ilex chinensis) の落葉だと思われる。Phacidiaceae には間違いないと思うが、近縁属がいくつかある。 Ilex(モチノキ)属に生じるものが数種あるようだ。

[参考文献]
DiCosmo, Nag Raj and Kendrick (1984): A revision of the Phacidiaceae and related anamorphs. (Mycotaxon ; 21, p. 1-234).

[初掲載日: 2019.12.02] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
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