Phyllactinia kakiicola
Phyllactinia kakiicola Sawada
カキノキうどんこ病菌。11月18日撮影。
[特徴]
菌叢は葉の裏面に生じ、薄く拡がり、僅かに白粉状。菌糸は永存性、径 4.5-6.3 μm.、付着器は未確認。
裂子嚢殻は菌叢内にやや群生し、扁球形、幼時黄褐色のち黒褐色から殆んど黒色、径 200-215 μm.、表面は径 8-20 μm. 程度の褐色厚膜の多角形の細胞からなる。
附属糸は針状、赤道上に9-12本放射状に生じ、無色、平滑、基部は球状に膨らんで径 25.5-31.5 μm. までになり厚膜、先端に向かって薄壁となり、長さ 90-330 μm.、中央付近で径 6-7 μm. 程度。
裂子嚢殻上部には筆状細胞が密生する。円筒形、基部は厚膜、褐色を帯びてやや膨らむものも多く、37-58 × 8.5-17 μm.、先端は数十本程度に分かれて箒状に拡がる。
各分枝は長さ 20-25 μm.、径 1 μm. 程度、先端は丸く膨らんで 2-3.5 μm. になる。10個程度の子嚢を生じる。--
子嚢は楕円形あるいは太棍棒形、短い柄があり、70-78 × 28-40 μm.、2個の子嚢胞子を生じる。 --
子嚢胞子は楕円形、淡黄色、薄壁、平滑、内容物は細かい油球状、34.3-40 × 20.5-22.9 μm. --
分生子柄は観察できていない。--
分生子は棍棒状、先端には乳頭状の突起があり、下半は細まる。ほとんど無色、薄壁、ほぼ平滑だが、弱い網目状の隆起が見えるものがある。フィブロシン体を含まない。75-88 × 26-32 μm.
[コメント]
半野生状態のカキノキ (Diospyros kaki) の落葉に発生していたもの。
種形容語は原記載、大谷 (1988)、高松 (2012) 等では "kakicola" と綴られているが
Index Fungorum も Mycobank も "kakiicola" [共に 2022.11.29 閲覧確認] となっている。
合成法("kaki" + 連結母音 "-i-" + "-cola")に関する命名規則、Art. 60.10 に従う訂正だと思う。
[参考文献]
大谷 (1988): 日本菌類誌. 第3巻、子のう菌類. 第2号、ホネタケ目・ユーロチウム目・ハチノスカビ目・ミクロアスクス目・オフィオストマキン目・ツチダンゴキン目・ウドンコキン目.
高松 (2012): 2012年に発行される新モノグラフにおけるうどんこ病菌分類体系改訂の概説. (三重大学大学院生物資源学研究科紀要 ; 38, p. 1-73).
[初掲載日: 2022.12.07] //
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