Pleuroceras sp. no.1
Pleuroceras sp. no.1
プレウロケラス属菌。5月6日撮影。
[特徴]
子嚢殻は落葉組織中に埋生し、散生あるいは少数が群生し、子嚢殻上部の葉面は僅かに盛り上がる。
子嚢盤は平たい饅頭形、黒色、径 500 μm. 程度まで、厚さを正確に測ることができなかったが、直径のおよそ 1/4 程度。
殻壁表面は黒褐色、やや厚膜の多角形細胞からなり、その径 8-15 μm. 程度。
頚部は子嚢殻の片側から生じ、落葉の表皮を破って伸び、肉眼では黒色の剛毛状。長さは 1.7 mm. に達し、基部付近で径 70 μm.、先端付近で径 40 μm. 程度。--
子嚢は子嚢殻中に充満する。紡錘形、薄壁、基部は短い尾状、先端はやや厚膜で突出し、先端リングが長さ 0.6 μm. 程度の2個の点状に見える。
メルツァー試薬に呈色しない。8胞子を束状に生じる。54.3-63.0 × 8.0-9.2 μm. --
側糸は確認できなかった。--
子嚢胞子は長紡錘形、緩やかに湾曲し、弓型になるものが多く両端はやや尖る。薄壁、無色。
中央に隔壁があり2細胞。隔壁部は括れない。隔壁近くと両端付近に少数の油球がある。付属糸は認められない。42.9-48.6 × 2.0-2.6 μm.
[コメント]
アベマキ (Quercus variabilis) の落葉に発生していた物。側方から出る長い頚部、細長い子嚢胞子などから Pleuroceras 属菌だと思う。
日本産菌類集覧には P. japonicum と P. quercicola が挙げられていて、ともに常緑カシ類に生じるが、どちらとも違っている。
Monod (1983) に拠ると Pleuroceras 属菌の寄主はヤナギ類が多い。
[別図2]
別角度から撮ったもの。5月6日撮影。
[参考文献]
Barr (1991): Revisions and additions to the Diaporthales. (Myxotaxon ; 41(1), p. 287-305).
Monod (1983): Monographie taxonomique des Gnomoniaceae (Ascomycètes de l'ordre des Diaporthales). I. (Beihefte zur Sydowia ; 9, p. 1-315).
[初掲載日: 2016.02.29]