Podosphaera hibiscicola

Podosphaera hibiscicola

Podosphaera hibiscicola (Z.Y. Zhao) U. Braun & S. Takamatsu
フヨウうどんこ病菌。11月2日撮影。

[特徴]
葉の両面に発生するが、表側に顕著に見られる。円形で薄い白粉状の菌叢を生じ、時に融合する。 菌糸は永存性、無色、分岐と隔壁がある。付着器は側生し低い乳頭状、径 2.5-3 μm. -- 分生子柄は直立し、円柱状、柄足細胞は 長さ 48-75 μm.、全体の長さは 130 μm. までになり、径 11-14 μm.、1-3個の隔壁があり、分生子を少数鎖生する。-- 分生子は楕円形ないしわずかに樽形、無色、薄壁、平滑、大型の液胞があり、フィブロシン体を含む。31.5-43 × 18.5-22.8 μm. -- 完全世代は未観察。

[コメント]
植栽されたフヨウ (Hibiscus mutabilis) に発生していたもの。 分生子が鎖生しフィブロシン体を含むなどの特徴が、丹田 (1997) の Sphaerotheca hibiscicola の分生子時代の記述によく一致すると思う。 Sphaerotheca 属は現在は Podosphaera 属に統合(Sphaerotheca 節)されていて、フヨウ類に発生する同属菌として高松 (2012) に挙げられているのはこの種だけなので、この学名を当てておく。 ただ、赵 (1981) の原記載には "Mycelium hypophyllum"(裏面生)とあるのが気になる。完全世代が藤岡 他 (2007) によって報告されているが、比較的稀なようである。

[参考文献]
大谷 (1988): 日本菌類誌. 第3巻、子のう菌類. 第2号、ホネタケ目・ユーロチウム目・ハチノスカビ目・ミクロアスクス目・オフィオストマキン目・ツチダンゴキン目・ウドンコキン目.
高松 (2012): 2012年に発行される新モノグラフにおけるうどんこ病菌分類体系改訂の概説. (三重大学大学院生物資源学研究科紀要 ; 38, p. 1-73).
丹田 (1997): わが国の観葉植物で新たに観察されたうどんこ病とその病原菌. (東京農業大学農学集報 ; 42(3), p. 173-183).
赵 (1981): 中国单囊壳属分类的研究 III. 锦葵科和虎耳草科上的新种和新变种. (微生物学报 ; 21(3), p. 293-297).
藤岡 他 (2007): 日本で初めて完全世代が確認された数種ウドンコ病菌. (日本菌学会第51回大会講演要旨集 ; A7).

[初掲載日: 2023.11.14] // [サイトのトップへ] // [掲載種一覧表へ]
All rights reserved. Copyrighted by Masanori Kutsuna, 2023.