Propolis farinosa
Propolis farinosa (Pers.) Fr. = Propolis versicolor (Fr.) Fr.
クチキマダラチャワンタケ。11月14日撮影。
[特徴]
子実体は最初は表皮下に発達し、成熟すると樹皮を破って子実層が表面に現れる。
不正円型ないし楕円形、直径 2 mm. 程度まで、子実層面はやや盛り上がり、灰白色で表面は粉状。
破れた樹皮は裂片となって反り返り周囲に残る。--
子嚢は棍棒状、先端は僅かに肥厚し、メルツァー試薬に呈色しない。基部はやや急に細くなり、短い尾状。8胞子を部分的に2列に生じる。120-155 × 15.1-17.8 μm. --
側糸は糸状、径 2.0-2.5 μm.、無色、先端付近は不規則に曲がりくねり、時に結節状に膨れる。先端には無色の不定形結晶状の物質が付着し互いに合着する。--
子嚢胞子はやや左右不対称な楕円形ないしソーセージ形、無色、平滑、内容は大きめな2ないし4個の油球が目立つ。27.4-31.5 × 6.8-8.0 μm.
[コメント]
雑木林内の落枝に発生していた物。おそらくリョウブ (Clethra barvinervis) だと思う。
Minter (2003) では、Propolis farinosa を広く解釈して Propolis versicolor を含む多くの種をシノニムとしてまとめているので、
ここではそれに従うが、Hustad and Miller (2011) はこの両種が別種である可能性を示唆している。
和名は山溪フィールドブックス「きのこ」(1994) で Propolis versicolor に与えられた仮称による。
[参考文献]
Chlebická (2014): Propolis rhodoleuca (Leotiomycetes, inc. sed.) compared with P. farinosa, P. occulta sp. nov. and P. strobilina. (Nova Hedwigia ; 98(3-4), p. 491-506)
Hustad and Miller (2011): Phylogenetic placement of four genra within the Leotiomycetes (Ascomycota). (North American fungi ; 6(9), p. 1-13).
Minter (2003): Propolis and Marthamyces gen. nov. (Rhytismatales). (Mycotaxon ; 87, p. 43-52).
[初掲載日: 2015.12.01]