Roussoellopsis tosaensis
Roussoellopsis tosaensis (Hino & Katumoto) Hino & Katumoto
ルッソエロプシス トサエンシス。5月16日撮影。
[特徴]
子座は表皮下に生じてドーム型に盛り上がり、楕円形ないし長円形、長さ 1-4 mm.。
偽子嚢殻は子座中に単生あるいは数個が1列から3列に並んで発生する。
黒色、炭質、やや縦長で平たい楕円形、600 × 420 μm. 程度まで、上面中央に不明瞭な孔口がある。
成熟すると、表皮が裂けて孔口がわずかに突出するように見える。--
子嚢は円筒形、厚膜、頂孔は盲管状、メルツァー試薬に呈色しない。140-185 × 20-23 μm.、8胞子をほぼ一列に生じる。--
偽側糸は糸状、子嚢よりも長く、径 1-2 μm. --
子嚢胞子は広紡錘形、左右非対称、両端はやや丸みを帯びる。褐色、やや厚膜。中央よりやや下方に隔壁があり2細胞、隔壁部は括れる。
36.5-45.7 × 12.0-14.9 μm.。各細胞に大きな油球が一つと、少数の小さな油球がある。表面は細かい縦皺があり、片面で10本ほど、
分岐や吻合があり、所々で不完全な網状になる。
[コメント]
地上の細いササ類の枯稈に発生していたもの。
寄主は Hino and Katumoto (1955) の原記載 (Didymosphaeria tosaensis Hino & Katumoto) では Sasa veitchii = クマザサとなっているが
Hino and Katumoto (1965) では Shibataea kumasaca = オカメザサとされている。
採集データが同じ (Koti Prov. Tosa, May 15, 1955, I. Hino) なのでオカメザサに同定修正されたのだろう。
ササ類の区別が難しくて良くわからないのだが、京都産の寄主はこのどちらでもないことは確かで、おそらくケネザサ Pleioblastus fortunei f. pubescens だろうと思われる。
Roussoellopsis 属は Hino and Katumoto (1965) で子嚢が "bitunicate" であることから、
「unitunicate の子嚢を有する Roussoella 属とは明らかに区別される」として新属とされたが、Roussoella 属の子嚢は Hyde (1997) に拠れば bitunicate とされている。
[参考文献]
Hino and Katumoto (1955): Illustrationes fungorum bambusicolorum III. (山口大学農学部学術報告 ; 6, p. 29-68).
Hino and Katumoto (1965): Notes on bambusicolous fungi (1). (Journal of Japanese botany ; 40(3), p. 81-89).
Hyde (1997): The genus Roussoëlla, including two new species from palms in Cuyabeno, Ecuador. (Mycological research ; 105(5), p. 609-616).
[初掲載日: 2015.06.04]