Saccobolus minimus
Saccobolus minimus Velen.
サッコボルス ミニムス。10月24日撮影。
[特徴]
糞の表面に散生あるいはやや群生する。
子嚢盤は初めは球形、のちクッション形、径 250 μm. 程度まで、半透明淡黄色ないし淡飴色、縁はほぼ全縁、柄は無く、やや広く基質に固着する。
成熟すると子実層は肉眼ではやや暗色に見え、ルーペ下では先端が突出した子嚢中の子嚢胞子塊が黒褐色の微粒状に見える。--
子嚢は棍棒形、薄壁、先端は平たくなり大きな蓋がある。全体がメルツァー試薬で薄く青変し、未熟な子嚢では特に顕著。8胞子を生じる。62-66 × 13.0-14.8 μm. --
側糸は糸状、隔壁があり、径 2.5-3.0 μm.、上半は黄色の一様な内容物を含み、先端はやや膨らんで、3.5 μm. 程度までになる。--
子嚢胞子は子嚢中で一塊となり、そのまま射出される。
子嚢胞子塊は円柱状、配列様式は Brummelen (1967) の pattern I に該当し、27-31.2 × 8.2-10.6 μm.、全体が無色の厚いゼラチン質被膜に覆われる。
子嚢胞子は広紡錘形、やや左右不対称、初めは無色、成熟すると紫褐色になりやや厚膜、顕著な内容物は認め難く、表面は非常に細かく密な疣状に見える。10.8-11.8 × 4.2-5.0 μm. --
托組織の詳細を観察できなかった。
[コメント]
10月7日に採集したシカの糞を湿らせて常温の室内で発生させたもの。出現頻度は比較的高い。Brummelen (1967) の記述よりも子嚢胞子は若干小さめである。
[参考文献]
Brummelen (1967): A world-monograph of the genera Ascobolus and Saccobolus. (Persoonia ; suppl. 1).
Minoura and Yamada (1976): Notes on coprophilous Discomycetes in Japan (I). (Trans. mycol. Soc. Japan ; 17, p. 321-326).
Richardson and Walting (1997): Keys to fungi on dung.
[最終更新日: 2017.02.17]