Schizothyrium sp. no.2
Schizothyrium sp. no.2
スキゾチリウム属菌。5月2日撮影。
[特徴]
子嚢子座は生葉裏面に散生する。表在性で扁平円盤状、黒色、ルーペ下ではややざらついて見えるがほぼ平滑、径 250-400 μm.、
表面は径 2.5-6 μm. 程度の黒褐色厚膜の多角形細胞からなり、所々でやや房状に固まって径 15-50 μm. 程度の薄いかさぶた状になる。
子座外周には淡色薄壁の矩形ないし多角形の細胞が幅 50 μm. までに一層に拡がり、さらに径 2.5-4 μm. の無色の短い菌糸が放射状に伸びる。表生菌糸はほとんど観察できない。
孔口は無く、成熟後は上面が裂開すると思われる。子嚢は子座中に10数個程度が一層、やや放射状に生じる。--
子嚢は楕円ないし卵形、厚膜、8胞子を塊状に生じる。71-86 × 34-52 μm. --
側糸様の細胞は観察できない。--
子嚢胞子は長楕円形ないし両端の丸い広紡錘形で時にやや左右不対称、無色、薄壁、平滑、ほぼ中央に隔壁があり2細胞、隔壁部は括れ、射出された子嚢胞子は時に分断する。
内容物は細かい泡状、全体に厚さ 3 μm. 程度までの被膜がある。45.5-75 × 13.1-16.6 μm.
[コメント]
クロバイ (Symplocos prunifolia) に発生していたもの。スキゾチリウム科で間違いないだろう。複数の検索表で検すると Schizothyrium に落ちる。
Phookamsak et al. (2016) には Schizothyrium 属の特徴として "Ascospores ... thick and rough-walled" とあるのが気になるが、
従来この属に含められている菌には平滑な子嚢胞子を持つものも多いので、スキゾチリウム属菌としておく。邦産既知種と比べて子嚢胞子はかなり大きい。
このような大型の子嚢胞子を持つ同属菌が幾つか知られているようだ。
[参考文献]
Phookamsak et al. (2016): Schizothyriaceae. (Mycosphere ; 7(2), p. 154-189).
[初掲載日: 2024.08.01] //
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