Scutellinia scutellata
Scutellinia scutellata (L.: Fr.) Lambotte
アラゲコベニチャワンタケ。10月17日撮影。
[特徴]
子嚢盤は浅い椀形ないし平板状で無柄、やや広く基質に固着し普通群生する。径 10 mm. 程度まで。全体軟らかい肉質。
子実層面は赤橙色で平滑、外面は白っぽいが褐色の剛毛が生えていて特に縁部分には顕著に長い毛がある。
子嚢は円筒形で8胞子を一列に生じる。基部はくびれて二叉状になる。230-270 × 16.5-21.0 μm.
側糸は糸状、隔壁があり、径 3 μm. 程度。先端は棍棒状に膨らんで 9 μm. 程になる。全体に淡橙色の内容物を含む。
子嚢胞子は楕円形、泡状の内容物があり無色。表面にはコットンブルーによく染まる細かな疣状突起がある。
疣は不定形で高さは低く、胞子表面に細かなゴミが付着したような感じに見える。17.2-18.5 × 11.5-12.4 μm.
外面の毛は厚膜で褐色、隔壁があり先端はとがる。基部は髄層に達し、叉状分枝した根状になる。
縁部分の毛は最大長 1400 μm. になり、基部付近での最大径は 40 μm. 程度。
水際等の湿った朽木に生じる普通種。ほぼ年中見られる。色合いは環境によってかなり異なる。
京都付近でも似た種類がいくつかあるように思うが、
朽木生、胞子は楕円形で表面の疣は微細、縁毛は長く基部は分岐する、という特徴を持つ菌を S. scutellata としておく。
[参考文献]
原色日本新菌類図鑑 II. (1989)