Scutellinia sp. no.7
Scutellinia sp. no.7.
アラゲコベニチャワンタケ属菌。7月10日撮影。
[特徴]
子嚢盤はやや肉厚の平盤状、直径 2-6 mm.。子実層面は朱赤色で平滑。縁部には短い剛毛が密生する。外面は淡色でやや疎な剛毛がある。
柄は無く、やや広く基質に固着する。--
子嚢は円筒形、基部は細まり小さく2叉状になる。8胞子を一列に生じる。266-300 × 19.8-22.6 μm. --
側糸は糸状、基部付近で分岐し、隔壁がある。径 3.0 μm. 程度、先端は棍棒状ないし槍状で径 10 μm. 程度までになる。
内容物は淡橙色だが、下方ほど濃色で先端の細胞ではほとんど無色。--
子嚢胞子は球形、無色、内容物は泡状。疣を除いて直径 17.1-20.0 μm.。表面には先の平らな(側面から見ると台形に見える)疣状突起がある。
疣は径 0.8-1.5 μm.、高さ 1.2 μm. 程度まで、互いに連絡しない。上面から見ると円形や長円形などに見え、比較的揃っている。--
托髄層は絡み合い菌組織、外皮層は直径 30-70 μm. 程度の無色薄壁のやや縦長の多角形菌組織からなり、皮層深部から剛毛を生じる。--
剛毛は褐色、厚膜、少数の隔壁があり、先端は尖る。基端はやや細くなるが分岐する事は無い。縁部の毛で 220-350 × 22-35 μm. になる。
[コメント]
積み上げられた伐採木の腐朽した樹皮部にぽつぽつと発生していたもの。球形胞子を持つ Scutellinia 属はあまり多くはなく、
Scutellinia barlae (Boud.) Maire の特徴とよく一致すると思うのだが、ネット上にある幾つかの S. barlae の画像とはかなり様子が違うので
S. barlae の近似種としておく。
[参考文献]
Schumacher (1990): The genus Scutellinia (Pyrenomataceae). (Opera botanica ; 101).
[初掲載: 2008.10.05]