Scutellinia uliginosa
Scutellinia uliginosa Batra
スクテリニア ウリギノーサ。6月11日撮影。
[特徴]
地上に発生する。子嚢盤は浅い椀状ないし肉厚の皿状、径 3-6 mm.、子実層面はややくすんだ橙赤色、縁は肉眼では褐色粒状、ルーペ下では短い剛毛が密生しているのが見える。
外面は淡色で短い剛毛をまばらに生じる。柄は無く、やや広く基質に固着する。--
子嚢は円筒形、薄壁、有蓋、8胞子を一列に生じる。メルツァー試薬に呈色しない。255-300 × 14.2-17.2 μm. --
側糸は糸状、隔壁があり、径 3.5-4.5 μm.、淡橙色の顆粒状の内容物があるが、先端細胞はほとんど無色。先端細胞は棍棒状に膨らんで 6-8.5 μm. --
子嚢胞子は楕円形、無色、14.3-15.8 × 9.1-10.9 μm.。表面にはコットンブルーによく染まる大きな半円形の疣がある。
疣は比較的まばら、ほぼ一様に分布するが、大きさは不揃いで両極周辺に大型の疣が見られることが多い。
疣は互いに連絡することは無い。径 2.0-3.2 μm.、高さ 1.8 μm. に達する。--
托髄層は絡み合い菌糸組織からなるが、間に球形の細胞が目立つ。
外皮層は厚さ 300 μm. 程度まで、無色薄壁の多角菌糸組織からなり、各細胞は 100 × 60 μm. に達する。
縁毛は褐色、厚膜、先端は尖り、末端はやや細く伸びて外皮層深部に入り、基部は単一、稀に二叉状になる。隔壁は少なく、0-2 隔壁まで。100-160 × 15-20 μm.。
外面の毛はやや短い。
[コメント]
照葉樹林内、大雨で表面の落葉等が流された後の裸地に少数群生していた物。近くにはムジナタケが数本発生していた。
子嚢胞子の大きさは文献の値より小さめだが、その他の特徴はよく一致する。台湾、インド等で見つかっている種で記録は少ないようだ。
Schumacher のモノグラフでは Scutellinia uliginosa Batra = Melastiza aff. flavorubens (Rehm) Pfister & Korf
として除外種リストに挙げられている。
[参考文献]
Jeannerot (2011): Contribution to the study of the genus Scutellinia (Pezizales) II. Type study of Scutellinia uliginosa and S. phymatodea. (Czech mycology ; 63(2), p. 163-175).
Schumacher (1990): The genus Scutellinia (Pyronemataceae). (Opera botanica ; 101).
[初掲載日: 2016.09.02]