Strossmayeria bakeriana
Strossmayeria bakeriana (Henn.) Iturriaga
ストロッスマイエリア バケリアナ。10月4日撮影。
[特徴]
朽木上に群生する。子嚢盤は肉厚の皿形、直径 0.3-0.8 mm.、子実層面はベージュ色を帯びた淡灰色、縁はほぼ全縁、
外面はほぼ同色で平滑、基部付近はやや濃色。柄はほとんど無く中央で基質に固着する。肉質は柔らかい。
子嚢は棍棒形、メルツァー試薬に呈色しない。8胞子をやや不規則な2列に生じる。120-148 × 13.7-17.2 μm. --
側糸は糸状、隔壁があり、1-1.5 μm.、先端は棍棒状に膨らんで 3.5 μm. 程度になり、無色の一様な内容物がある。--
子嚢胞子は円筒形、緩く弓状に曲がり、両端は丸く、下端はやや細まる。無色、薄壁、内容は泡状。後に7隔壁を生じる。全体が薄いゼラチン状被膜に覆われる。42.9-47.2 × 3.7-5.1 μm. --
托髄層は膨らんだ細胞が混じる絡み合い菌組織、外皮層はやや厚膜の平行な菌糸からなる。菌糸は径 2-3 μm.、ほぼ無色だが最外層ではやや褐色を帯びる。
托基部付近の外皮層はメルツァー液でわずかに青変する場合がある。--
子嚢盤付近の材上には不完全世代が観察できる。厚膜褐色の径 5-7 μm. 程度の分生子柄が基質から立ち上がる。
隔壁があり、分岐は見られず、200 μm. までになり、先端細胞はやや薄壁で淡色、先端は丸く、僅かに膨らむ。
分生子形成構造の詳細は観察できなかったが分生子を頂生するようである。
分生子は紡錘形、淡褐色厚膜、表面は平滑で基部は截頭状、横にほぼ等間隔に5-7隔壁を生じ、隔壁部は括れない。34-37.2 × 8.8-10.0 μm.
[コメント]
コナラと思われる朽木の材部に発生していた物。参考文献の S. bakeriana の記述とほぼ一致する。
[別図2]
6月20日撮影。朽木に群生していた物。S. bakeriana と思われるが、子実体はほぼ全体が乳白色で、顕微鏡的特徴も上述のものと若干計測値が異なる。
主な計測値は以下の通り。子嚢は 111-155 × 11.5-15.2 μm. -- 子嚢胞子は 40-57 × 2.9-3.7 μm.、後に7隔壁を生じ、薄い被膜に被われる。
先端付近から発芽して 4.2-5.0 × 2-3 μm. のダルマ型ないしとっくり型のフィアライド様になるが、分生子の形成は確認できなかった。 --
分生子はやや先端が細く伸びた紡錘形、褐色、横にほぼ等間隔に7隔壁を生じる。両端の隔壁は厚く、濃色になるものが多い。31.5-40 × 11.5-14.5 μm.
[参考文献]
Hosoya (2000): Strossmayeria bakeriana collected in the Imperial Palace, Tokyo. (Mem. Natn. Sci. Mus., Tokyo ; 34, p. 241-245).
Iturriaga and Korf (1990): A monograph of the discomycete genus Strossmayeria (Leotiaceae), with comments on its anamorph, Pseudospiropes (Dematiaceae). (Mycotaxon ; 36(2), p. 383-454)
[初掲載日: 2014.11.13, 最終更新日: 2018.07.17]